Devil Incarnate
・前の画面に戻る
https://kakuyomu.jp/works/16818093085371501586/episodes/16818093085373750513
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案の定、正方形の部屋だった。
突き当たりに扉がある以外は取り立てて、なにもなかった。
僕は部屋を横切った。
何もないというのは、こういう通常ならざる空間にあっては、何かあるのと同じぐらい、あるいは、それ以上の不安をもたらす。
空気につぶされる――そんな感覚を初めて味わった。
スニーカーで歩く、ほんの少しの距離がずいぶんと長く感じられた。
背中に汗が吹き出す。
踏み出す足が重い。
吐き気がこみあげてくる。
突き当たりの扉の色は赤。いや、赤黒と言ったほうがしっくりくる。
何か嫌な予感がする。
ここを開けるなと。
僕は恐怖を飲み込む。
ここから引き返してどうなる。
これ以上どこへ進めと言うのだ?
僕はドアを開けた。
・赤黒いドアの部屋へ
https://kakuyomu.jp/works/16818093085371501586/episodes/16818093085431267268
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