Baal
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https://kakuyomu.jp/works/16818093085371501586/episodes/16818093085382730739
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赤い扉に手をかける。扉のてっぺんから下の方まで目の覚めるような赤色だった。
赤は警告の色だ。
なにか危険がひそんでいるのだろうか?
それでも僕は勇気をふりしぼり、扉を開けた。
ぎいい。
音を鳴らして、少しずつドアを開いた。
またしても同じ作りの正方形の部屋に出た。
部屋の入ると、突き当り――南側にドアがあるのが見えた。
このまままっすぐ突っ切れということか。
最初の一歩を踏み出したとき、猿のような鳴き声が右の方から聞こえてきた。
視線を向けようとしたとき、強い衝撃を感じた。
なにかがぶつかってきた。
とっさに身を守る行動を取っていたので、それを盾が防いだことに気がついた。
足元を見ると、細く鋭いものが床に落ちていた。
それは、矢のように見えた。
ぎぎぎぎぎ……。
猿のような鳴き声がふたたび聞こえてきた。
僕の視線はとらえた。その生き物の正体を。そいつは子どものような背丈だった。赤子のようなしわくちゃな顔、豚の鼻、上半身は裸で、下半身は茶色く汚らしい被毛におおわれていた。まるで中世ヨーロッパの
手に持っているのは弓。
いまや二発目の矢がつがえられているところだった。
「AZDLKNKEOMOLE」
意味のわからない音声が、悪魔の口からこぼれる。声は甲高く、まるでバイオリンの最も高い音をならしたかのようだった。
悪魔が弓を引きしぼる。罵倒の声をひびかせ、高らかに笑い声を上げる。
殺される。
真に恐ろしいできごとにあったら身がすくみ、なすすべなく死んでいくタイプだと、自分を認識していた。
だが、我知らず、僕は立ち向かっていった。
はたして「立ち向かった」という言葉が適切だったかは分からない。
僕は怯えきっていた。
怯えきった僕は攻撃的だった。
盾を構え、悪魔に突撃していったのだ。
「MZOLABCLOEIIILOO」
ドシン。
僕の盾と壁とに挟まれた悪魔が、叫び声をあげた。苦しげな悲鳴だった。
それを聞くと、僕は心の底に悦びがわき上がってくるのを感じた。もっと苦しめたい。もっと
「ああああああ!」
ありったけの力を盾にこめた。
逃れようと悪魔はじたばたするが、力比べはどうやら僕のほうが上手だったようだ。
いつしか悪魔は動かなくなった。
僕の身体は汗でじっとりと濡れていた。
盾から力をゆるめると、動かなくなった悪魔の体が、フローリングの床に倒れた。白目をむき、苦しげに口を歪めていた。おそらく圧迫死したと思われる。
必死の行動が報われた結果だが、僕は特に達成感を覚えなかった。
なんだよあれは……。
恐怖が全身を駆け抜けた。
この屋敷は……どうなっているんだ?
とにかく先に進むにはここから南側のドアを開けるしかない。
盾の取っ手を僕は握りしめた。
・南のドアを開ける
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