Asmodeus
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https://kakuyomu.jp/works/16818093085371501586/episodes/16818093085373333147
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僕は闇の中へと足を踏み出す。一歩。また一歩と。
スニーカーが踏みしめるフローリングの床は泥で汚れていた。いや、泥ではない。もっと汚いものだ。赤黒くて、臭くて、ねばねばしたもの。きっと生き物の体内を流れていたものだ。
突如、シャンデリアの明かりが落ちた。
そして、完全な闇に飲み込まれる。
――こっちへ来なさい。
声が一際大きくなった。
一筋の青白い光が闇のなかに浮かび上がる。声の主がそこにいると、僕の感覚は告げていた。
青白い光へと歩みを進めた。
――こっちへ。
声はひときわ大きくなった。
……近づいている。
声の主に。
「誰なんだ! あの時の女か?」
僕は叫んだ。
返事はなかった。
足を動かし続ける。青白い光は僕を手招きするように揺れ輝いている。
突如闇のなかから腕が伸びてきた。開かれた指が僕の首根っこをつかんだ。その途端に、すべての呼気が奪われた。
グギ……。
叫ぼうとしたが、叫び声を上げることは叶わなかった。
五本の野太い指が、ぎりぎりと僕の首筋に食い込む。
離せ!
腕の冷たいその感触は、まるで金属を連想させた。引き剥がそうとするも、肌は筋張っていてかたく、筋繊維のひとつひとつが感じられるほどだった。
僕は腕に爪を立て、つかみ返し、何とか引きはがそうとしたがビクともしなかった。
そこへ、さらにもう一本の腕が伸びてきた。
視界は白みはじめてきた。
呼気を奪われ、生命活動は限界を迎えていた。
グググ……。
皮膚が皮膚を引きしぼる音が
――僕はここで終わるのか。
死にたくない。
恐怖と絶望が全身を包みこんだ。
何者かもわからない相手に殺されたくない……。
やがて青白い光が腕の主の姿を浮かび上がらせた。
そのとき、僕の恐怖は最大限に高まり、心臓が絶叫を上げた。
そして、すべてが終わった。
BAD END
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