第10話

21場

〇渋谷駅前

デモ集会でのスピーチを終えた多留

その周りでビラ配りをしている、佐々木、小島、加藤、平井

小島を見つけた清水


清水「真田さん、真田さん! いました! あそこです!」

真田「完全に溶け込んでますね。声かけます? 」


清水、突然小島に向かって歩き出す

真田、突然動き出した清水に面を食らいながら、後をついていく


清水「小島さん! お久しぶりです!」


と言って、手を上げ、ハンドシェイクを求める

小島、清水に気が付き視線を向けるが、向けただけで特に何かをするわけではない


真田「小島さん! ほら」


と言って掲げた手を強調する


小島「…」


小島、ビラ配りに戻る


清水「あの~小島さ~ん?」


小島、反応せずビラ配りを続ける


真田「小島さん。今はどういった活動をされているところなんですか? 自分たち心配なんです。普通のボランティア活動なら何もいうこともないんですけど、なんだか怪しいサプリも販売もしているらしいじゃないですか。さっきの演説もなんだか胡散臭いし。本当に大丈夫なんですか?」


多留が近寄ってくる


多留「どうかされましたか?」

清水「いや、その…」

多留「(小島に向かって)知り合いですかな?」

小島「いえ」

清水「ちょっとちょっと」

多留「お引きとりいただこう」

真田「自分たち小島さんと友人なんです! けど、急に連絡取れなくなったんで心配になって」

多留「あー! あなた達でしたか! 例の小島さんを犯罪者呼ばわりしたという友人は。小島さんはあなた達のような者たちとの縁を切り、我々と親交を深め、ジェダイへの道を探求することを選んだのです」

真田「本当なんですか、小島さん」

小島「…はい」

清水「きっとルークの子供たちの名前も言えない人たちでしょう。そんな人たちと一緒にいて楽しいですか?」

真田「一緒に東京コミコンに行ったこと時のこと、思い出してくださいよ。楽しかったじゃないですか。コンセプトアート展にも行きましたね。驚きを共有しましたね。シネマコンサートだって行ったじゃないですか。あの時の興奮、僕は忘れてませんよ。小島さん。あなたはどうですか?」



真田・清水「行ってない行ってない!」

清水「小島さんはコンサートいってないっすよ」

真田「イベント毎回必ず一緒に行ってるから、当たり前に行ってると思い込んでましたわ」

清水「わかるけど! あの時は自分と真田さんと影山さんの3人だったでしょう」

真田「そうでしたそうでした」

清水「そうだ。それで、影山さんがとんでもない女だったんですよ! 小島さんの言う通りでしたわ。だからさっき三行半を突きつけてきたところなんですよ」

真田「影山さんもいなくなったしさ、そろそろ小島さんも戻ってきてくださいよ」

小島「出来ません。ダークサイドの人間と一緒に行動することは認められないので」

清水「認められないってなんなんですか? その胡散臭い人にですか?」

佐々木「胡散臭いとは失礼な! この方はカウンシルのグランドマスターですよ」

真田「グランドマスターってジェダイごっこですか? 小島さんがこの人たちとしたいことってごっこ遊びだったんですか?」

清水「いや…ボランティアを…」

真田「ボランティア活動をするのはいいと思います。けど、なにもこんな人たちとやらなくたっていいじゃないですか」

清水「そもそもこの人たちは本当にSTARWARSファンなんですか? STARWARSファンの純粋な心を利用した人なんじゃないですか」

佐々木「どこからどう見てもファンじゃないですか! ジェダイナイトの正装とも言えるローブを着ているんだから」

真田「見た目だけならなんとでもできます。文字通り、ファッションオタクですよ。こんなものは! どうせルークの子供の名前言えないでしょう?」


黙り込む面々


清水「自分は言えますよ。ルークの子供の名前はベン・スカイウォーカー」

真田「ねぇ小島さん。彼らみたいなSTARWARS偏差値の低い人と、話が弾んだことなんかないでしょう。レジェンズ原理主義者な我々が」

清水「自分らみたいな特別なオタクが幸せになるには、仲間同士でつるむしかないんですよ」

多留「ダークサイドの連中に耳を貸してはならん。ひとたび暗黒の門をくぐると、それでお前の運命は決してしまう」

佐々木「パダワンよ、ちゃんとマスターの話を聞きなさい」

真田「聞いて下さい。小島さんが、僕たちの元から離れていってしまうのは仕方ないと思います。ひどいことをしたのは僕たちだから。でも、友達が悪い人たちとつるんでいくのを黙ってみているわけにはいかないじゃないですか」

多留「やはりダークサイドの連中は甘い言葉を駆使し誘惑する。言った通りであろう」

清水「ハット語を喋れる僕らより、この人たちを信用するんですか? 僕ら、ハット語を喋れるんですよ?(ハット語を喋る)」

小島「(ハット語で答える)」

佐々木「か、彼らは急にどうしたんですか?」

平井「ハット語は、ジャバザハットを代表する、ハット族の使う言語です。ただ、何を言っているかはさっぱり…」

清水「(ハット語を話す)」

小島「(ハット語で答える)」


小島、平井に視線を送る


小島「(真田と清水の方に向き直ってから)(ハット語で会話に入ってくる)」

清水「(ハット語を話す)」

小島「(ハット語を話す)」

真田「ルークの子供は?」

小島「ベン・スカイウォーカー」

真田「ルークの甥っ子は?」

小島「ジェイナ、ジェイセン、アナキン!」


真田、小島の方に歩み寄り、手を上げる

小島、真田に応え、映画『21ジャンプストリート』のようなハンドシェイクをする

ハグをする真田と小島

清水、二人に近づき、ハグに加わる


多留「行くぞ」


といってその場を離れようとする


佐々木「パダワンはよいのですか?」

多留「やつはダークサイドに堕ちたのだ。放っておけ」


多留去っていく

佐々木、加藤、平井も後に続いて去っていく


真田、バッっと勢いよくハグの輪から離れる


真田「あの! これ書いてもいいでしょうか!?」

清水「え?」

真田「今回の出来事をモデルに小説を書いてもいいでしょうか?」

清水「えぇ、まぁ」


清水、小島に視線を送る


小島「別に構いませんけど…」

真田「ありがとうございます! いいのが書けそうだぞー!」


「ほんとですかねぇ」などと言い合い笑いあう三人


22場

〇表彰式会場

台上に緊張した面持ちの真田がいる

宮田、ステージ下から真田を見守り、小島と清水も会場にいる

真田、審査委員長より大賞の記念トロフィーを受け取り、委員長と握手を交わす

正面に向き直り、宮田に向けてトロフィーを掲げる

嬉しそうな宮田

真田、小島と清水に向けてもトロフィーを掲げる

大喜びする、小島と清水



終わり

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バックファイヤーウォーズ マサキノブヒロ @koth1113

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