第2話
義弘は以後、信長の知恵を借りて営業にいそしんだ。得意先のスーパーマーケットである太田マートが自社のアイスクリームの発注を断ってきた。競合他社の松下冷凍の製品が安く、若者に人気ということでそちらの販売に集中させようということである。焦った義弘は松下冷凍を訪ね、太田マートの担当者の上田正樹に伺った。彼は消費者ニーズを良く分析しているのだという。現代はどのような年齢層に何が人気があり、地域によって需要に違いがあるのか、等である。太田マートのある地域は20代前半の子どものいる若者が多い。しかも気温が高い。この地域性を利用しているのだという。
義弘は正樹に大きな興味を持ち、仕事後に酒を飲み交わした。話を聞くと彼には豊臣秀吉の声が聞こえるという。豊臣秀吉は、正樹にこう諭した。「多くの者の支持を集められる行いをせよ。」と。加えて「さすれば万民に好かれる物が出来て日の本は栄えるであろう。」と諭されたという。これを聞いて実践に移した。自社の商品を売る前にどのような物が好かれるのか需要を集められるのかに重点を当てることで商品は良く売れて営業は成功したという。
この話を聞いた義弘は感心した。偉人の力を借りた者が自分以外に身近に存在し、語り合えることに驚きや喜びを覚えた。義弘は正樹に自分にも偉人の声が聞こえること、自分には織田信長の声が聞こえて彼の力を借りて営業成績を伸ばしたことを話した。正樹はそれに興味を持ち、多くを語らって二人は飲み交わした。
正樹は義弘に提案した。共に事業を立ち上げ、新しい日本を作っていこうと。今の日本は古い体制や因習に悩まされ思うように自由な仕事ができない。それよりも偉人の知恵や力を借りた自分たちで新しい事業を立ち上げようと。義弘は驚いた。それは壮大すぎるため不安が多い。しかし自分も気持ちは同じである。今後も会社の駒として使われていくのなら自ら事業を行った方が良いと感じて正樹に賛同した。
こうして半年後に2人は退職し起業した。日本に新たな変革をもたらせるようにということで『新生冷凍食品』と名付けた。社長は義弘、副社長は正樹である。義弘は信長の能力を借りてリーダーシップを発揮し変革をもたらせる事業を考案し正樹は秀吉の能力を借りて人脈や人望を活かした営業力を発揮した。彼らの事業は始まったばかりであるが今後自分たちでやりたいことを行うための第一歩として起業した。
しかし人材は足りない。今後は自分たちの力を発揮しながらも人を動かす力も必要となる。
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偉人が復活し新たな世界を作る @adzts
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