クリスタリアの勇者たち

日向 純

第1章: 勇者の運命

小さな村、エルダムは深い森と山に囲まれ、外の世界から切り離された静かな場所だった。少年リアンは、今日も父の形見である剣を振りながら、修行に励んでいた。父は、リアンがまだ幼い頃に村を守るために戦い、命を落とした。それ以来、リアンは父のように強くなり、村を守ることを夢見ていた。


「おい、リアン!今日こそ俺に勝ってみせろよ!」


大きな声とともに、リアンの幼馴染で親友のカイが駆け寄ってきた。カイはリアンと同じくらいの年齢だが、体格が良く、常にリアンに挑戦し続けていた。


「今日こそは俺が勝つ!」とリアンは笑顔で言いながら、剣を構えた。二人は草原で剣を交え、何度も切り結ぶ。いつもの遊びの延長のように見えるが、リアンにとってはこれが日々の成長の証だった。


その夜、リアンは家の片付けをしていると、父の形見の剣が不思議な光を放ち始めた。剣の柄に刻まれた古代文字が輝き、剣の中に封じ込められたクリスタルが露わになった。


「これは…何だ…?」


リアンは驚きながら剣を握りしめた。すると、父が残した日記の中から一枚の地図が落ちてきた。そこには「古代のクリスタル」と書かれ、遠い場所へと続く道が示されていた。リアンは動揺しながらも、父が何か重要な使命を隠していたことに気づく。


翌朝、リアンは村の長老であるセラフィスに相談することにした。彼女はエルダムの歴史を知る数少ない人物だった。セラフィスは地図を見つめ、ため息をついた。


「リアン…これは、古代の勇者たちが持っていた力の一部、7つのクリスタルの一つだ。このクリスタルには、世界を救う力があると言われているが、それを狙う者たちも存在する。君の父も、そのクリスタルを守るために命をかけたのだ。」


リアンは驚きを隠せなかった。自分がただの村の少年だと思っていたが、実は運命に導かれていたのだ。そして父の形見が、この世界に隠された大きな謎に関わっていることを知る。


「クリスタルを守るため、冒険に出るんだな。だが、一人では危険だ。仲間を見つけ、共に戦え。」セラフィスの言葉にリアンは決意を固めた。


カイは当然のようにリアンの冒険に同行することを申し出た。「俺も行くぜ!こんな面白そうなこと、逃すわけにはいかないだろ!」と笑いながら、カイは剣を片手にリアンに挑戦の眼差しを向ける。


そして、二人はエルダムの村を後にし、クリスタルを守り、世界の命運を背負う冒険の第一歩を踏み出すのだった。


次回予告:


リアンとカイの旅が始まる!最初に待ち受けるのは、険しい山々と謎に満ちた遺跡。彼らはクリスタルを狙うカオス軍団と初めての戦いを迎えることに…!次回「古代遺跡の守護者」!

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