第6話 乗り越え踏みつけあった二羽の仲

 松と竹を見比べて、驚きました。

 松は換羽かんうを終えて桜文鳥になっていたのに、竹はヒナの羽のままでした。


 環境で成長に差が出たのかも知れません。竹はうちの子になって二週間過ぎた頃から換羽が始まり、成鳥の羽へと変わりました。



 肝心の二羽の仲は……あまり良くありません。何かにつけ、竹が松を威嚇いかくします。



 竹・キャルルルルル! 

 けたたましく鳴き、首をウネウネ動かし、松を威嚇します。


 松・コロコロコロ。

 鈴を転がすようにかわいく鳴き、同じ様に首をウネウネさせ、竹を威嚇いかくしていますが。



(コロコロ? えっ、かわいい声で、威嚇なの? それ、威嚇いかくになってるの!?)



 この後、無言でくちばしでつつきあい、竹が逃げていきました。勝者・松のくちばしは無傷でしたが、竹のくちばしには傷ができていました。


 竹は放鳥の度に松を威嚇し、つつきあいが始まり、負けて飛び去る日々です。


 やはり一緒にお迎えしていたら、こんな事にならなかったのではと、後悔しました。



 ヘルニア我が身かわいさを理由に、二羽を引き離してしまい、申し訳ない思いでいっぱいでした。







 転機が訪れたのは、二羽が一歳半を過ぎた頃です。仕事帰りに餌を買ってきた家族が何か言いたそうな顔をしており、尋ねると。



「お店にものすごく惹かれる子がいたんだけど」

「その子が欲しいの?」

「できれば」



 てのひらに居るのが好きな二羽に、もう一羽増えると、掌が足りなくて喧嘩しないかが気になりますが。


 松と竹は私が気に入り、お迎えした子です。家族が気に入り、お迎えを望んでいるなら、叶えなければと、翌日にその子を見に行きました。 


 生後三ヶ月の桜文鳥はヒナの羽で、一羽でケージに入っていました。


 出身地が日本となっており、ざっくりとした出身地だなと思いながら幼鳥を見ると、頭が大きく、ずんぐりとした体型の文鳥でした。

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