第21話 作戦開始!!
――作戦開始だ。
まず、ルーネが森の中で待機する。俺は村人を装って奴らに近づく。その後に合図を出したら、風の刃が飛んできて奴らは消滅、というはずだったが、なぜこうなった。
森の中で待機していたルーネは、再び俺の相棒を手にすると、「ああ、なんと美しい!」と叫びながら森の奥へと突っ走っていった。
俺は作戦通りに動き始める。だが、奴らがどんな奴らなのか少し気になるところ。布をまとった俺を見逃すわけもなく、大柄の男が不審そうに声をかけてきた。
「おい、そこの布を纏ったお前、そこで何をしている?」
「この日の夜にしか生えない薬草を取りに来ていました。あ、あの、妻が病気なので早くこの薬草で薬を作りたいのですが、行ってもいいですか?」
長身の白銀の鎧をまとった男が、「怪しいぞ」と言い放つ。
「隊長、どこが怪しいのですか?」と補佐官風の女性が話しかける。
「ここにそんな薬草は生えない。つまり、お前は嘘をついている。俺の魔眼は真実を見抜くんだ」
シャランという音と共に三人は長剣を引き抜く。俺は合図を確認し、ルーネは風の刃を飛ばしてくる。
「まず一人」
俺は静かに告げる。
「貴様、魔法使いか!!」
奴らは俺の魔法だと勘違いし、二人は背中合わせになる。
「隊長、どうしますか?撤退した方がいいのでは?」
「我々の任務はルーネの暗殺だ。ここでしくじれば次はないだろう」
――瞬間、風の刃が次々に飛んでくる。
俺も予想外の展開に頭がパニックだ。どこから飛んでくるかわからない刃に、二人は切り傷だらけになる。
「相打ち覚悟で二人斬る、いいな?」と言いながら、俺に襲いかかってくる。
「はい、隊長とともに!」
だが、俺には効かない。なぜなら――「復讐」だ。
二人の体は仲良く爆散した……はずだった。だが、風の刃は止まることなく、森の木々を次々と丸太に変えていく。
「あ、楽しんでるよね?これ?」
俺は少しずつ近づいていく。風を切る音が一層強くなる。まるで剣の素振りをしているかのように、彼女はスティックを振り回していた。
「ああ、終わったのですか? 今、スティックと心を通わせているところでして」
「危ないから。もういいって」
「なぜですか!? もう少しで何か掴めそうだったのです!」
俺がルーネに「終わった」と告げると、彼女は「安心しました」と安らかに微笑んだ。その笑顔は美しく、思わずドキッとしてしまうほどだった。
「街まで行きましょうか。追っ手がまた新たに来るかもしれませんので」
「確かに、そうだな」
そう答えながらも、俺はその笑顔を頭から振り払えず、歩き出す足が少し重く感じられた
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