第12話 転生者の墓場
「殺戮者とは、どういう存在を指すのだろうか?」そう自問したが、答えは明確だった。俺が今、手にかけているのはかつて人間だった者たち、いや、今はもう人間とは呼べないものだ。転生者たちが命を落とし、その死体が動き出している。ただの怪物だ。
普通の人間がこんな光景を目にしたら、間違いなく逃げ出すだろう。だが、もし自分の愛する子供が、こんなゾンビになっていたら……その哀れな姿を前にして、耐えられるだろうか?きっと、胸が張り裂けるほどの悲しみが押し寄せるはずだ。だから、俺がこの手で彼らを救ってやるしかない。今ここで。
俺は迷いなく、不死者に向かって武器を振り下ろした。業務のように淡々と、それを繰り返す。途中で武器が折れ、使い物にならなくなったが、それでも俺は止まらない。俺にはまだこの腕が残っている。これまで人を殴ったことなどなかったが、不死者に対して拳を振るうと、衝撃が腕を通じて痛みを感じさせた。それと同時に、胸の奥にも鈍い痛みが走る。殺すことの重さは、手だけではなく心にも伝わってくるものだ。
「おらっ!」
拳を振り上げ、再び不死者を殴りつけた。その瞬間、頭の中に声が響いた。
「スキル:
続いて、もう一つ。
「スキル:
一体どうなっている?まるで殴ることで次々とスキルを手に入れているような感覚だ。俺が手に入れたスキルはどういう能力なのか、それはよくわからない。ただ、手に入るスキルの数が次第に増えていく。
「スキル:
「スキル:
「スキル:
「スキル:
スキルの取得が止まらない。次々と得ていくスキルに、俺は呆然とするしかなかった。どうしてこんなにスキルが手に入るのか。その理由も、すぐに理解した。
ここは転生者の墓場――つまり、女神が「使えない」と見なしたスキル持ちの転生者たちが集められる場所だ。生きていた頃、彼らが持っていたスキルは、彼らの死後もこの地に留まり、俺の手に次々と流れ込んできているのだろう。
「そうか……ここはそういう場所だった」
女神が見捨てた者たちの巣窟、無数の転生者が這いずり回るこの墓場で、俺は彼らの無念を拾い上げ、進み続けている。
「お前らのスキルは俺がいただいていく。そして女神にお前らの思いを一撃に込めてやるからな」
次に次へと俺に寄ってくる奴らを俺は解放という行為をしていく。そう思うことで自分を正当化し始めていた。
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