第8話 第二牢獄層。
「なるほど、ありがとう。ヴィル」
「いいってことさ、それより早く地上に出たいな」
地上か…。ここに来て何日が経ったのだろう。看守たちから奪った食糧も残り3日分ほどしかない。焦りが胸を締め付けるが、先のことをいくら考えても無駄だ。今はただ前に進むしかない。
歩き続けるうちに、ついに出口が見えた。光が漏れてくるその先に待ち構えているのは、意外な光景だった。
「なんだここは…?」
さらに目を凝らすと、先頭には一際異様な存在がいた。漆黒の馬にまたがる首のない
「ここから抜け出すには、あいつをどうにかしないといけないってわけよ。」
ヴィルが不穏な声で俺の隣に立ち、指を差して続けた。
「ちなみに、あれは転生者達の肉体で作られた骸骨兵士たちだ。元転生者だから、一人ひとり何かしらの能力を持っているはずだよ?」
俺は再び
「能力持ちの骸骨たちか…厄介だな。あいつらをどう攻略するかが鍵だな」
ヴィルは冷静に頷いたが、表情には焦りが浮かんでいる。俺たちに残された時間は少ない。
すると、一体の骸骨が崩れ落ちた。
他の骸剣士がくるとその骨を見たあとに、「
「今のは蘇生したのか?」
俺は驚きと疑問が交じる声でヴィルに尋ねた。骸骨が倒れても、あっさりと蘇生して歩き出す様子は異常だ。
「ああ、そうだ。ここの骸骨たちは何度でも蘇生する。この第二牢獄層は肉体労働を強いられる場所だ。だが、骸骨たちに魂はない。魂はあの先頭の奴――首のない骸剣士が全て持っているんだ。」
ヴィルの説明に背筋が寒くなる。魂を持たない肉体がただ働き続ける…それだけでも恐ろしいが、彼はさらに続けた。
「ここでは、骸骨がチリになるまで地下を掘り続ける。能力を持っている元転生者たちだから、兵士としても使えるんだ。そして第一牢獄層はもっと酷い。そこでは永遠に生き続けるのが目的だ。看守たちの“おもちゃ”にされても、何度も回復され、再び弄ばれる…逃げることも、死ぬことも許されない。」
「永遠…?」俺は思わず口元が震えた。その一言の重みが、牢獄層の底知れぬ恐怖を強く感じさせる。
「ここに長居するわけにはいかないな。」俺は決意を固め、さらに気を引き締める。
「第三牢獄層はもっと異常だぞ。」ヴィルが低い声で続ける。
「第三牢獄層?ここよりも酷い場所があるのか?」俺は思わず聞き返した。
「ああ、第三牢獄層は『不死』がテーマだ。そこにいるのは、アンデッドになった転生者同士だ。彼らは不死の存在として、永遠に戦い続けなければならないんだ。死ぬこともできない状態でな。勝敗がついても、蘇生されてまた戦う。勝者には一時的な優位が与えられるが、結局、誰も逃げられない。優劣をつけられても、それはただの一時的なものにすぎないんだ。」
「不死の転生者同士が戦い続ける…。」俺はその地獄のような光景を想像し、背筋が凍った。永遠に終わりのない戦いを強いられるなんて、想像を絶する苦痛だ。
「第三牢獄層では、自分がどれだけ強かろうが関係ない。結局、勝ったところで次の戦いが待っている。奴らはそのループから抜け出せない。まさに、優劣という概念さえ虚しいものにしてしまう場所だ。」
ヴィルの説明に、俺は無言で頷いた。この牢獄には、ただ力や能力を試すだけでは抜け出せない深い闇が広がっている。
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