第7話 ヴィルとの連携

 燃え上がる魂が、俺の方へ勢いよく飛んできた。さっきとは全く違う速さだ。俺はすぐに「身体強化アーマード」を発動し、その魂を避けようとした。


「うぉっ!」


 だが、避けたつもりだった魂は、炎をまとって俺を追尾してきた。


「それを避けるのは無理だろう。地獄の業火に焼かれながら、苦しみ続けるがいい。この炎は当たるまで止まらない、永遠の苦しみだ」


「だったら…お前に返してやるよ!」


 ヴィルが俺に軽くアイコンタクトを送ると、素早くその燃えた魂を打ち返した。


 カーンッという金属的な音が響き、魂は骸骨霊術師のフードをかすかに燃やす。


「自分の攻撃で燃えるって…何なんだよ、こいつ」



「なるほど、それがわかったなら、あとはそいつにぶつけるだけか。まずは、挑発して怒らせる必要がありそうだな」


 そう言いながら、俺は次の手を考えた。ヴィルが余裕の表情で俺の後ろに立ち、自慢の顎髭を触りながらニヤリと笑う。


「おいおい、どうしたんだ?そんなもんか?」


 ヴィルは、俺の代わりに挑発を始めた。その余裕たっぷりの態度が、さらに敵の怒りを煽る。


「ふん、挑発して何かを企んでいるのか、それともただのハッタリか?だが、どうでもいい。地獄の業火を味わせてやる!」


 骸骨霊術師は怒りの表情を浮かべ、浮かんでいた魂を骨と化した手に集め始めた。それは次第に巨大な炎の塊となり、灼熱の熱気が周囲を包む。俺はその圧倒的な熱を感じ、汗がじわりと流れてくる。焦っているのか、それとも冷や汗なのか。だが、なぜか妙な余裕を感じていた。


 そうだ、俺には「復讐」がある。どんな攻撃だろうが、跳ね返してやる。


「喰らえ!地獄の豪炎ヘルフレイア!!」


 骸骨霊術師が叫び、巨大な炎がこちらへと迫ってくる。熱い。まるで肌が焼け焦げそうだ。しかし、俺の背後にはヴィルがいる。彼が俺を支え、「復讐」の力を発揮しやすくしてくれているのだ。


「今だ……返してやるよ!復讐!!」


「な、な、なんだと!?そ、そんなことが……で」


 骸骨霊術師は、自身が生み出した怨念の業火に焼かれ、一瞬にして塵となって舞い散った。


「ふぅ……」


 俺たちはその場に座り込み、一息ついた。ヴィルは、軽い傷を治すために「回復ヒール」をかけている。戦闘に備えて万全の状態にしておくのは、当然の準備だ。次に、ヴィルは俺にも「回復」をかけてくれた。俺も「回復」を使えればいいんだが、この世界の魔法についてはまだよくわからない。


 ライトノベルなら、「スキル:回復を会得しました!」とか突然聞こえてきそうな場面だけど、現実はそう甘くないらしい。魔法の仕組み、世界のルール、女神、種族カルム……覚えなきゃいけないことが山ほどある。どれから手を付ければいいのやら。

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