ナイトゲーム



「ちょっと待ってください。言わないでください」


 喉まで出かかってるんです、と言ってから三分も経てばいよいよ高浜さんも諦めたけれど、私の力では検索してもそれが何のキャラクターなのか探り当てることはできなかったし、結局彼も自ら検索を始めることはなかった。というわけで、このプラネタリウムでは目の前のこの写真に映っている男の子の正体については、高浜さんの記憶が蘇るまで一旦保留されることとなる。


 午後六時過ぎ、終業後のバックルームでのことだった。

 今日は昼頃に一度だけ社長が顔を出した。手に一枚のぺらっとした紙を持って現れると、「奥に置いておくから後で読んでおいてくれ」とだけ言って去っていく。そういうわけで、仕事が終わった後に私たちはそれを読む。


『人形が持ち去られる事件が発生しています』

 と、その紙には書いてあった。


 一見すれば、ちょっとした事件性を感じる紙面の構成だった。一番上にでかでかと『お願い』の文字。その下には床の上に力なく、無造作に転がされている人間の姿。しかし、よくよく目を凝らしてみればそれは生の人間ではなくフィギュアか何かだとわかるし、目を凝らさなくてもその下の文章までちゃんと読めばわかる。


「今度もまた人が入り込んでるのかな」

 と私が言えば、二人揃って天井を見る。


 この『お願い』の紙を作成したのは、二階、やや北寄りに位置するおもちゃ屋さんだった。私がだいぶおもちゃ離れした後にできた店舗だから一度も入ったことはないのだけれど、店内にはディスプレイ用の人形が飾ってあるらしい。


 そしてそれが、夜な夜な誰かに持ち去られていると、そういう内容だった。


「いや……今度こそアライグマかもしれません」


 高浜さんの中で、アライグマに住居侵入された件はよっぽどな衝撃体験だったらしい。かなり真剣な面持ちで、そう呟いた。


 しかし人だったとしてもよくわからない話だ、と私は改めてその紙を見た。事件の詳細が記されているわけではないけれど、少なくとも説明書きには『何度も』という言葉が現れている。『夜間に』と持ち去られた時間帯を特定するような文言が含まれているのは、おそらく締め作業のとき、それから開店時にその人形がなくなっていないかを確かめているということなのだろう。となると、この話はこんな風に素直に解釈できる。


 夜間に何度も何者かが店に入り、フィギュアを持ち去っている。

 そのくせ、必ずその人形は〈銀河〉の施設内のどこかで毎日見つかるそうなのだ。


 お願いの内容というのは、施設内でこの人形を見つけたら、その持ち主であるおもちゃ屋さんに連絡をしてほしいというものだった。


「うわー……出てこない……」


 そしてさっきから高浜さんが思い悩んでいるのは、その人形が何のキャラクターなのか思い出せないということだった。


 ちなみに私は心当たりがなかった。単純に男の子向け作品のキャラクターだからなのか、それともちょっと高浜さんとは世代が違うからなのかは、今のところまだよくわからない。特定の小学校だけで流行っていた作品の可能性もあるし、あるいは私の通っていた小学校や中学校でだけ局所的に知名度がなかっただけなのかもしれない。このあたりの『子どもの頃はみんな知っていると思っていたものが、大人になって同年代に話題を振ってみたらまるで通じなくて驚く』であったり、『同年代が当然知っているものとして話し始めた作品について一切の知識がなく、まるでタイムスリップしてきた江戸時代の人間のように扱われる』あたりは結構誰しも体験したことがあるものではないだろうか。


 そういうわけで、私が助けになれることは特にない。


「これどうしようね。受付のところに張っておく?」

「あ、そうですね。そうしておきますか。それなら、見かけた人がいれば教えてくれるかもしれませんし」


 提案が通ったので、早速張りに行ってみる。

 ややカウンター周りが物騒になったようにも見えたけれど、実際、事件は事件であるので仕方のないことではある。まあいいよね、と二人で話し合って、合意に至る。それじゃあ、と私は言った。


「お疲れさまでした。退勤します」


 その動作のさっと機敏なところを見て、高浜さんも悟ったのだろう。微笑むようにして言った。


「続いてますね、三階堂さん」





 天高く馬肥ゆる秋とは言うが、どちらかというと私が体重を気にし始めたのは、夏の名残によるものだった。あの頃、ちょっと私は食べ過ぎていた。


 といって、昔のように一キロ減っただの三キロ増えただのに一喜一憂しているわけでもなかった。年を重ねるにつれて、そういうことに対して鷹揚になりつつある自分がいることに気付く。自分に期待しなくなったとも言うし、自分を許せるようになったとも言えると思う。人間は絶えず日々変化していくわけで、体重の増減だってその自然な変化の一つだ。別に、健康に問題がないなら好きにすればいい。岩が川の流れに磨かれて小石になるように、草の根が大地の恵みを受けて、やがては大きなお芋となるように……。


 しかし、社長の何気ない一言が私を大きく変えた。


「まあ、毎日ジムには行ってるな」


 昔と比べて食べられる量が少なくなってきた、というような話題がその前にあったと思う。そこからどういう流れだったのか、細かいことは覚えていないけれど、確かに社長はそう言った。


「こっちだと移動するのに車ばっかり使うだろ。夏場は外で散歩するわけにもいかないし、だから自然とな」


 一体どこに自然の要素があるのかはわからなかったけれど、私はそれを聞いて、体型維持というより自分の運動量と食事量の比を考えてしまった。成人病、の言葉が頭をぐるぐると回る。特に、こういう気軽に外食ができる職場で働いていると。お昼休みに「最近凝ってるんです」といういかにも彩り豊かなお弁当を食べている高浜さんを見ると。


 運動の秋という言葉もある。

 まず、社長と同じようにジムに通ってみることにした。社長はかなり丁寧に教えてくれたし、雰囲気も良かったのだけど、本当に申し訳ないことに性格上続けるのが難しかった。まず、立地が遠い。この間まで〈銀河〉の店内にも小さなフィットネスジムがあったはずなのだけど、いつの間にかなくなっていたから、またいつの間にか入ってくるまではそれなりに遠いところまで行かなくてはいけない。私はその道中で考えてしまう。この往復時間をジョギングに費やした方が有意義なんじゃないか? そしてジムに着いてからも、トレーニング中にずっと考えている。重いものを持ち上げたり下ろしたり、この行為に一体何の意味があるというんだろう……。


 そうして行かなくなった。賢いことに、私はこういう事態を見越していきなり年間パスポートを購入したりはせず、お試しのちょっと割高の入場チケットをその都度買っていたので、大した損は出なかった。社長からは「だと思った」と言われた。何だと思われているのかは知らないけれど、当たってはいた。


「僕、家でやってますよ。そういうゲームがあって」


 そして第二案は、高浜さんからもたらされた。


 一番のネックは移動だったという話をしたら、今は家で運動をするゲームがあると教えてもらった。確かに広告で見た気がする。早速私はそれを試してみようとしたけれど、ものすごい速度でジムから遠ざかった自分を客観視し、ゲーム機をいきなり購入といった思い切った行動は控えた。ゲーム以外にも動画サイト等でお家でできるトレーニングのメニューがいくつも上がっていて、それを組み合わせてもいると高浜さんが教えてくれたので、まずはそっちだけを試してみることにした。そして挫折した。最初の頃は新しいメニューを試してみるのが楽しかったけれど、面倒になったのだ。あと、疲れるし。


 高浜さんは「だと思った」とは言わなかった。「なかなかこういうのって難しいですよね。僕も一度間が空いてしまうと再開するのに時間がかかって」と同調と共感を基本に相槌を打ってくれた。そしてさらに、それに加えて、新たなアドバイスもしてくれた。


「そういえば、〈銀河〉の中にゲームセンターがありますよね。運動用のも置いてある」





 かなり続いていた。

 というのも、構造上の問題だと思う。


 家で一人でやっていると、なかなか気力が続かない。一方でジムにまで行くのは遠くて嫌。となると、仕事が終わった後にさらっと寄れて習慣化できる場所が近場にあれば、言うことはないのだ。


 ということで、私は三階のゲームセンターに来ていた。少し奥まった場所にあって、フードコートが通路側に被さるような不思議な立地をしている。何となくゲームセンターという場所には薄暗いイメージがあったけれど、ここはそんなこともなかった。白と青を基調に、ゲームの筐体のネオンカラーが差し色に入るくらいで、全体に清潔で明るい印象がある。ゲームの音こそかなり大きかったけれど、それでも個人的には、パチンコのホールよりはまだ大人しい。


 ぬいぐるみやフィギュアの並べられたプライズゲームが、お出迎えのように並んでいる。そのちょっと脇にはカードゲームとメダルゲームが。さらに奥には音楽ゲームがあって、


「こんにちは」

 と、その途中で声を掛けられた。


 多分、最初の一回で反応できたわけではなかったんだと思う。それなりに大きな声だったから。声のした方を向くと、そこには尾花さんが立っていた。例のごとく私は従業員側の人間であることを見抜かれ、話しかけやすいらしい雰囲気もあり、ゲームセンターの店員である彼女と顔見知りになっている。


 続いてますね、と尾花さんからも言われた。そこまで何度も言われると、私もなかなか大したものでしょう、という気持ちになってくる。しかし彼女の顔はそこで曇って、


「ただ、今日は……」

 言葉を切ると、手招きをした。


 声をひそめていたので、釣られて私も忍び足になる。ついていく。

 音楽ゲームの奥には、格闘ゲームとシューティングゲームがある。そこに小学生の一団がいたから、もしかして、と思う。


 写真機の陰に隠れるようにしながらさらに先に進むと、予想通りの光景が広がってた。


 そのあたりにたむろしている子どもたちが、さらにその奥、私がいつも使っている運動ゲームを使って遊んでもいたのだ。


 ちなみにそのゲームの筐体は、かなりサイズが大きい。周りに手すりが付いていて、プレイするときの床はお椀状の形を取っている。それで体重移動を感知できるらしくて、それと腕にくっつける機材とで身体の動きを読み取る。内容としては、アドベンチャーゲームと言ったらいいのだろうか。床が動くので体幹を使って体重移動をしながらいくつものミニゲームをこなすという、びっしょり汗をかいてバスに乗れなくなるほどではないけれどなるほど運動不足の解消にはちょうどいいというくらいのもので、ついでに最近涼しくなってきたからこの後自転車にも乗れば完璧――


「どうします?」

 と、尾花さんが訊いた。


 私はその質問の意味がわかる。普通のゲームセンターであれば、その後ろに並ぶのだろう。順番待ちだ。子どもたちがそれを気にせずずっと使っているようだったら、尾花さんが「譲り合ってお使いください」とアナウンスをしてくれもするのだろう。ちょっとだけ通ったジムでもそうだった。だから後は、気持ちの問題。


 子どもたちが遊んでいるところに、割って入る気になるか。

 ならなかった。


 こうしてそれなりに長く続いた運動習慣もこれで終わりを告げるのだろうなという儚い予感を抱きながら、私は静かに首を振った。


「あ、」


 そうして、「懲りずにまた来てください」という尾花さんからの視線を受けて、踵を返そうとしたときだった。


 指を差された。

 シューティングゲームに熱中している子どもたちのうちの、一人から。


 その子もまた、さっきの高浜さんと同じように歯に物が挟まったような顔をしている。もにょもにょとやわらかく口を動かす。他の子も、揃って私を見た。


「〈銀河くん〉!」

「ドーナツ屋さん!」

「プラネタリウム!」


 突然早押しクイズが開催されてしまった。

 どれもそんなに遠くはないので、子どもの記憶力というのも侮れないものだと感心した。でも、〈銀河くん〉だけはおかしいと思った。お店の名前で呼ばれるのはそういう呼び方だからいいけれど、それだけは単に人違いだ。


 どういう反応をしようか、迷った。


「ね、ゲーム強い!?」

 迷っているうちに、向こうのペースに引き込まれた。


 子どもたちに取り囲まれて、ゲームの筐体の前に座らされた。いつもやっているものや、隣の格闘ゲームと比べれば、だいぶ古いもののように見えた。私が子どもの頃にもあっておかしくはないように見える。


 お金を入れて、ゲームスタート。

 わけがわからなかった。


 可愛い女の子のキャラクターが画面の端に出て喋っているから、多分何かのストーリーはあるんだと思う。けれど、断片的すぎて全く頭に入ってこない。何らかのテロ組織と戦わされているようではあるけれど、私はどういう立ち位置なのか。巻き込まれた一般人?


 少なくとも、私自身はそうだった。

 わけがわからないなりに、操作はシンプルだから意外と進める。子どもたちが湧いてきた。ゲームの達人だと思われている可能性がある。荷が重い。


 大きな敵が出てきた。

 結構粘ったけれど、ちゃんと負けた。


「あー、ダメだ!」

 子どもにダメ出しされる。


 負けちゃった、とか当たり障りのないことを言いながら席を立てば、すかさず別の子がお金を入れる。ダメ出ししてきたのとは別の子が、ありがとうございましたと頭を下げてくれた。気遣いしいなのだろう。この年でそれではなかなか大変なことも多いと思う。


 それにしても不思議だと思ったから、その子に訊ねた。


「流行ってるの? このゲーム」

 今の子どもは、もっと未来的なもので遊んでいるイメージがあった。


 実際、このシューティングゲームがこのゲームセンターの中で一番昔のものに見えた。レトロ趣味に片足を踏み入れているのではないかと思うくらい。今はそういうのも流行りなのだろうか。


 うーん、とすぐには答えなかった。真面目そうな子だ。手持ちの小さなバッグには、ピアノ教室ででも使う教材だろうか、つやつやの表紙の楽譜が覗いている。


 彼女は、今も大興奮で、食い入るように画面と向き合っている他の子たちを見ながら、小さく呟いた。


「攻略できないと、死んじゃうから」


 ゲームオーバーの文字が表示される。


 店員さんやってよ、と尾花さんが子どもたちに腕を引かれて、無理だよお姉さんゲーム下手なんだから、と困った顔をしている。





「あの、これ」

 と、月丸さんが話しかけてきた。


 プラネタリウムの、一番最初の上映時間より前のことだ。いつものように帽子を目深に被って、ちょっと緊張しているかのように、私からは目線を外している。


 差し出してきたのは、例のお人形だった。

 おもちゃ屋さんから夜な夜な盗み出されると噂の。


「わ、ありがとうございます。どこにありました?」

 と訊ねると、彼は自分の後ろの方を指差して、


「エスカレーターのとこ。あの、えっと、奥の方の。〈銀河〉からこっちに入るくらいのところ」


 そこで見たから、と月丸さんは受付の張り紙を見ながら言った。おもちゃ屋さんからのお願い。効果は覿面だったらしい。


 受け取りながら私は、ちょっと踏み込んでみた。


「一緒におもちゃ屋さんに返しに行ってみますか?」


 月丸さんは、驚いた顔をした。

 それからまた、目を逸らして、


「……いや、いいです。盗んだとか、思われたら嫌だし」


 えっ、と今度は私が驚く。

 そんなことありませんよ、感謝されますよ。そういうことを伝えるけれど、「でもおれ、いつも朝早く来てて怪しいし」「これ拾ったときも、まだエスカレーター動いてなくて」というようなことを彼は言う。


「もしかして、止まってるエスカレーターの途中にあったのを、わざわざ拾ってきてくれたんですか?」


 訊ねると、うん、と声もなく彼は頷く。それから「入っちゃダメでしたか」と不安そうに訊いてくるから、私は実際にその場面に遭遇したら何の気なしに拾いに行くだろう自分のことを棚に上げて、「いきなり動き出すと危ないから、今度から大人の人を呼んでもらった方が安心かも」というようなことを言う。子どもに接するとき、人は普段生きているときの何十倍も慎重な生き物になる。


 わかりました、と素直に月丸さんが頷いてくれる。

 そのまま彼をプラネタリウムの中に通した。無理強いをするつもりはなく、上映が始まったら高浜さんに一声かけて、私一人でおもちゃ屋さんに向かう。


 説明をすると、やっぱり大層感謝された後に、おもちゃ屋さんはこう続けた。


「エスカレーターの途中に落ちてたってことなら、やっぱり夜中に動かされてるんでしょうねえ」


 その推測は、自然なものだろう。

 エスカレーターが稼働している時間帯にそこに落としたとすれば、動くのに合わせて人形は端の方に追いやられるはずで、だから、止まっている時間帯以外にそこに落とされたことはありえない。雪の上の足跡で犯行時刻を推定する探偵小説みたいだと思っていたら、ちょうど向こうも同じことを思っていたらしい。ミステリーですねえ、と笑い合って、


「でも、本当に誰がこんなことしてるんだろう。やっぱり愉快犯かな」

 と、笑い飛ばせない悩み事について、一言だけその人は言った。


 プラネタリウムに戻る。そこそこの数のお客さんを案内して、そこそこの寂れ方に身を浸す。お昼は〈銀河〉直営の食料品売り場で調達した、子犬が食べるみたいな小ささのお弁当で済ませて、後は終業時刻までそのまま。


 ではない。

 彼が出てきたタイミングで、渡した。


「月丸さん。これ、お人形を拾ってくれたお礼です」

「え」


 何がいいかなと思ったけれど、特に悩む必要はなかった。おもちゃ屋さんに人形を返しに行ったとき、レジ前にお菓子が並んでいたから。そしてその中に、


「月丸さんがつけてるそのストラップのキャラクターがいたから」

「……これ、別のキャラ」


 うわ、と私は私にがっかりした。


 とうとうこういう年代になってしまったのかと思った。昔は「どうして大人はこんなにはっきり違うキャラクターが区別できないんだろう」とか「どうしてこんな有名作品の区別すら曖昧なんだろう」と思っていたけれど、いよいよそれを思われる側に回ってしまった。


「でも」

 月丸さんは、それを受け取ってくれて、


「……ありがとう、ございます」


 かえってこっちがお礼を言われてしまう。

 いいえとにっこり笑いかけると、月丸さんもはにかんで返してくれた。恥ずかしくなったのか、帽子を被り直して、じゃあ、と踵を返す。


「あれ、月丸じゃね?」

 そのタイミングでのことだった。


 びくっと月丸さんが肩を震わせる。声の主はランドセルを背負って、プラネタリウムの外、エスカレーターの前に立っている。


 小学生だ。

 多分、月丸さんと同級生の。


「今みんなでゲーセンに――ちょお待って! マジでおれトイレやばい!」


 先行って待ってて、と彼は大急ぎで駆け出していく。


 月丸さんは、やがて無言のまま歩き始める。いつもなら彼は下りのエスカレーターにすぐ乗るけれど、今日は、三階をそのまま歩いていった。





「すっげ月丸! やっぱ強え!」

「上手すぎ上手すぎ……あー! やばい!」


 結論から言うと、杞憂だった。

 それから一時間くらいの営業をこなした後、私はさっさと退勤して、再びゲームセンターを訪れていた。するとそこで見たのは、想像していたように緊張で肩身を狭くしている月丸さんではなかった。耳栓をして、ゲーム画面に食い入るように集中している。周りから声援を飛ばされても何の反応もしないけれど、しかし、とりあえず疎外されている風ではない。


 考えてみれば、そんなに無理のある話ではない。プラネタリウムには平日の定休日があって、その日は月丸さんも、学校に行っているらしいのだから。


 ついでにちょっと運動していこうか。でもあれだけ小学生が集まっている場所でやるのもちょっと気後れするな。そんなことを思っていると、


「いやあ、繁盛は繁盛なんですけどね」


 今日もシフトに入っていたらしい。尾花さんが出てきて、そんなことを言った。

 ちょうどよかったので、気になっていたことをついでに訊いてみることにする。


「毎日こんな感じなんですか?」

「私が知ってる限りはそうですねー。ただ、曜日によってちょっと時間帯が変わるみたいで。小学校か習い事の関係なのかな。今までたまたま、三階堂さんは被ってなかったんですけど」

「随分古そうなゲームですけどね。今はこういうのが流行ってるんですか」


 いやあどうだろ、と尾花さんは首を傾げた。


「今は古いゲームも結構みんな触れる機会があるけど、流石にこれは流行ってないんじゃないかなあ」

「あ、古いゲーム自体は結構そうなんですね」

「息の長いタイトルが多いですからね、今。IPを骨までしゃぶりつくすみたいな。後は結構、ほら、インターネットで。古いゲームをやったりする人が多いんで、そういう影響もあるんですよ。やっぱり今っておじさんおばさんにウケるものが前提で作られるので」


 それから難し気なことを尾花さんは喋った。だから結局中高年向けの需要を見越して作られたコンテンツを若年層がもう一度サイクル的に受け入れてうんぬんかんぬん。だから意外と今の子って昔のものに詳しかったりするんですよねほらあそこにあるリズムゲームとか。あれの収録曲見るとびっくりしますよ懐かしいのばっかりで。


 しかしそれなら、なおさら不思議だった。局所的にあのシューティングゲームがここでだけ流行っているということだろうか。


「何かきっかけがあったんですか」


 普段だったら、そこまでは訊かなかっただろう。大体こういうものは理由なく流行るもので、理由があったとしても一店員の尾花さんに把握できていないのが普通のことだから。


 それでも、そうして声にしたのは、ついこの間に聞いた言葉があったからだ。

 攻略できないと、死んじゃうから。


「それが、結構変な話なんですよね」


 枕にそう言っただけあって、本当に変な話が続いた。


 まず最初に、一人の女の子がゲームセンターにやってきたのだという。入口で困ったように立ち尽くしていた。すぐに話しかけた方が助けになるか、それともかえって向こうを緊張させてしまうか。悩んでいるうちに、彼女は動き出す。奥へ奥へと進んで行って、座ったのがこのシューティングの前。


 しばらく一人で彼女が黙々とプレイしていると、もう一人来た。


 こっちも、しばらくは入り口で戸惑っていたようだった。しかし彼女を見つけると、ぱっと顔を輝かせて駆け寄る。「お前も?」というようなことを言うと、妙に結託した雰囲気で財布を出し、交互にプレイを始める。


 それが、一日で五人。

 二日目には二十人になっていた。


「流行るにしても何か理由があるんだろうなーと思って、気になって訊いてみたんです。そうしたら、『夢を見た』って」

「夢って、寝るときの?」

「みたいです。夢の中でみんな、このゲームをやったんですって。それで『何だかこっちでもやらなきゃいけないような気がした』って」


 変な話ですよねえ、と改めて尾花さんは言った。

 ちなみに、と私は訊ねてみる。


「『死ぬ』って言ってませんでした?」

「死……えぇ?」


 彼女は驚く。誰から訊いたんですかそんなことと言われるから、記憶にある顔を探してみたけれど、その場にはいない。特徴を伝えると、見覚え自体はあったらしい。尾花さんは頷いて、


「いや、流石に子どもたちの間でついた尾ひれじゃないかな……。最初の頃はそんなこと言ってる子はいなかったし」


 ていうかそれなら、あんなにじゃぶじゃぶお金を使わせないでタダでやれるようにしますよ、と言ったそのとき、一際大きな声が上がる。


「すげえ月丸! クリアじゃん!」

「やばお前! マジで天才!」


 よっぽど月丸さんはゲームが上手いらしい。喝采と共に肩を揺さぶられて、画面にはゲームクリアの文字が浮かんでいる。


「これ、一位取らなきゃいけないんでしょ」


 けれど、本人の顔は冴えなかった。


 今でもこういうのってあるんだ、と思うと同時に、古いゲームだからあるのかもしれないとも思った。アルファベットの入力画面が出てきたのだ。月丸さんは大してこだわりもなさそうに、『TTT』と打ち込んで、決定ボタンを押す。


 ハイスコアランキングが出てくる。

『TTT』の名前は、上から二番目だった。


「スコア、すごい開いてるし」


 もう一回、と月丸さんはお金を入れる。

 次の日は定休日で、その次の日も彼は、プラネタリウムに来なかった。





「僕そのゲーム、昔やってましたよ」


 お昼時、高浜さんはそんな相槌を打った。


「え、ゲームセンターで?」

「いや、CS版……ゲーム機でやれるバージョンがあったんです。僕がやった時点ではすでに復刻版の扱いだったんですけど。今の子って、意外と古い漫画に詳しかったりしますし、不思議ですよね」


 珍しいですね月丸さんが来ないのは、というのが話の始まりだった。


 高浜さんは「学校に行ってるのかな」「それとも季節の変わり目だし風邪ですかね」というような推測を述べたけれど、私の考えは違った。一昨日聞いた奇妙な話について口にする。へええ、と高浜さんが相槌を打つ。じゃあもしかして、月丸さんは今日は一日ゲームセンターですかね。かも。なんて名前のゲームなんですか。


 高浜さんも興味が出てきたらしいから、退勤後で二人で連れ立って行くことにした。


 到着すると、そこはちょっとした秘密基地になっていた。

 圧巻の光景で、今ほど私は子どもたちと自分との世代差を感じたことはなかった。前列、月丸さんを含めてゲームの腕に自信があるらしい子どもたちが、代わる代わるに筐体に向かってあーでもないこーでもないと試行錯誤している。その一列後ろでは画面をカメラで撮影している班がいて、逐一それをプレイ班に見せては「ここはこうした方がいい」「この動かし方だと後が詰まる」なんてことをアドバイスをしている。さらに後ろでは昔のウェブサイトを漁っているらしい班があって、細かい情報を中列の分析班に伝えている。


「すごい熱量ですね」


 驚いたのは、高浜さんも同じらしかった。私と同じように隔世の感を得たようで、唖然としている。私と同じく、この空気の中でプレイできるだけの気合はなかったらしく。大人しくおずおずと後ろに下がっていく。


 一応、私は月丸さんの様子を見ておいた。

 夢中のようだ。特に、こちらで心配する必要もないだろう。


 そのままさっさと帰るのも何だから、私は高浜さんと二人、音楽ゲームをプレイすることにした。本当にこの間尾花さんが言った通り懐かしい曲が多かったけれど、そもそもプレイ方法がよくわからないのも結構あった。高浜さんに訊くと「僕も初めて見ました」とのことで、四苦八苦、まるで未来からの贈り物をあれこれ弄り回す古代人のように、私たちはそのゲームの筐体に取り組む。


「高浜?」


 曲の区切りが付いたところで、声がした。

 私にとっては知っている声だったけれど、高浜さんにとっては少しの間、思い出すのに時間がかかるものだったらしい。振り向いてからちょっとの間、彼は戸惑ったように彼女の顔を見て、


「尾花さん?」

 と、名前を呼んだ。


「今気付いてなかったっしょ。こっちはすぐわかったのに」

「ああ、うん。ごめん、全然わかんなかった。だいぶ変わったから」

「見違えるくらい綺麗だねって?」


 そうそう、と笑いながら高浜さんは言った。え、今何してんの、こっち戻ってきたの。そう、新卒の就職先でメンタルやっちゃって。うわマジか、そりゃ社会が悪いわ。そっちは? 私は……まあ、バイトで生活を整えながらインターネット関係とだけ言っておこうかな。あんまり深く訊かない方がいいやつだ。お、察しがいいな。


 どうも同級生らしかった。

 当時から仲が良かったのだろうか。お互い明け透けな感じで、話に花を咲かせている。高浜さんは気遣いしいなので「今働いているのがプラネタリウムで」等と私も会話に交ぜようとしてくれているけれど、もちろん私は長々ここに割り込もうとは思わない。


 後はどうぞ二人で、と立ち去るタイミングを見計らっていた。

 そのとき、うわあ、と今まででも一層大きな声が、シューティングゲームの方から響いてきた。


「ありゃ」

 と尾花さんが言う。高浜さんとの会話を一旦打ち切って、そっちの方に向かっていく。


「ごめんなさいねー。もうちょっと他のお客様に配慮してもらえると助かるかもですー」


 彼女がそう言うと、よっぽどこの期間に仲良くなったのだろうか。はーい、と学校の先生にでも返事をするみたいに、多くの子どもたちが口を揃える。


「でも見てこれ」

 その中でも一等気安く思っているらしい子が、画面を指差した。


 何を伝えたいのかは、すぐにわかった。二位の名前は相変わらず『TTT』。一位の名前は『XYZ』とあって、それぞれの名前の横に表示されたそのスコアが、上からほとんど合致している。


 ほんの僅かの差だった。

 月丸さんは筐体に突っ伏して、声も出さなくなっている。


 子どもたちが口々に言うには、相当やり込んだのだそうだ。褒められたことではないが、学校の授業中にもずっとシミュレーションしたり、何なら上手いこと先生に見つからないようにインターネットの動画を見ながら学習したりしていたらしい。彼らは自分たちに持てるものを可能な限り費やした。でも、そろそろいい加減に尽きてくるものもある。


 お小遣いと、時間。

 もうそろそろ、ヤバいと。


「……今の、無理か」

 ぽつり、月丸さんが零す。顔を上げて、近くにいた子どもの顔を見る。


「いつまで?」

 端的な問いだったけれど、それで通じたらしかった。その子が答える。


「今日」


 月丸さんは、普段にも増して難し気な顔をした。


 すぐには硬貨を入れ直さない。右の手首を左の手で押さえて、ぐっぐっ、と押し込んでいる。他の子どもたちも意気消沈の様子だった。


「ちょっと一回だけ、いいですか?」

 高浜さんが言った。


 子どもたちが一斉に彼を見る。多分、高浜さんはぎょっとした。けれど実は、彼はそういう反応をその場ではあまり表に出さない。ふんわり笑って、「いいですか?」ともう一度言った。


 こくりと月丸さんが頷いて、席を譲る。

 硬貨を入れるときと操作ボタンを確かめるときだけ、少し彼は手間取る。けれどそこからは、何の気負いもない。


 まるで机の上に置いてあるペンを手に取るような、何の苦もないと言いたげな、滑らかな動きだった。


「高浜、やってた?」

「うん。だいぶ久しぶりだけど」


 尾花さんは話しかけた直後に「しまった邪魔した」と言いたげな顔をしたけれど、高浜さんの手元はまるで乱れもない。ごく当然のように、一面と二面を抜けていく。


 三面。


「あの、」

 月丸さんが、口を開いた。


「何か、コツとかってありますか」

「大きく言うと二つですね。一つは、視点の置き方」


 高浜さんは、片手を離して画面を指差す。このあたり、と円を描いて、


「後ろで待つんだったら、自機……自分の位置の周りばかりを見ない。弾の発生地点からどう流れるかを見ておく」


 それから、と彼は軽くレバーを左右に動かして、


「操作精度です。シビアなラッシュは繊細な操作が要求されますし、何より指を動かしてどのくらい自機が動くのかがわからないと、自然に視点が自機に偏ってしまう。もっとも、僕も久しぶりにやるので、あんまりこれはお手本にはならないんですが」


 彼は、いくつも私には意味がわからない言葉を口にした。ボムを惜しまないとか、張り付きがどうとか、切り返しがどうとか。そして、ハイスコアを狙うためにはと、突如とんでもない動きを始めて、


「……という感じで、リスクも高まります」


 ゲームオーバーの文字が、画面に表示される。

 手をぷらぷらと広げると、彼は席を立った。


「昔は結構、この音楽とシナリオが好きでやり込んでたんです。特にクリア画面で流れるのが好きだったんですが――」


 見ての通り今すぐには難しそうなので、と彼は苦笑して財布を取り出す。中から幾枚かの硬貨をじゃらりと抜き出す。子どもたちの視線を一身に受けながら、それを筐体の上に置いて、


「よければ、見せてもらえませんか」


 子どもたちが目くばせをする。一番最初に筐体の前に座るのが誰なのかを決める。

 その硬貨が尽きるよりも先に、ハイスコアランキングの一番上の文字は塗り替えられた。


『MNN』は、『みんな』の略だそうだ。





 その人形がゲームセンターで見つかったのは、その次の日の朝のことだったそうだ。このことについては、午前中のシフトの店員さんから尾花さんに、尾花さんから高浜さんに、高浜さんから私に伝わった話で、又聞きの形になる。


「結局、尾花さんに教えてもらっちゃいました」


 キャラの名前のことだ。


 尾花さんは今でもそのアニメのことが好きで、当然のようにその名前が出てきたらしい。なんで思い出せなかったんだろう、と呟いた高浜さんはその場で結構な言われようだったそうだ。


 レイという名前のキャラクターで、ゲームが得意な天才少年。アニメの名前も聞いたけれど、全然心当たりがなかった。でしょうね、と高浜さんは言う。ちょっと変な時間帯にやっていたので、当時からあんまりみんな観てませんでした、と。


「でも、僕は好きだったんです、この子。強いし、ほら。見た目が綺麗じゃないですか。こういうキャラに当時弱くて。なんで忘れてたんだろうなあ」


 開店前の清掃中に、そこにあるのが見つかったそうだ。すでにおもちゃ屋さんからの周知を受けていた店員さんは、夜中にここまで誰かが忍び込んだのかと背筋を凍らせたらしいけれど、尾花さんはその話を詳しく聞いたとき、もっと違うところに驚いた。


 その人形が落ちていたのは、例のシューティングゲームの筐体のところだったそうなのである。


 この話をひとしきり終えると、高浜さんは、こんな風に言った。


「もしかしたら、子どもたちは呼ばれてたのかもしれませんね」

「呼ばれてたって、そのキャラクターに?」

「人とゲームするのが好きだって、この子が言う回があるんですよ。だから久しぶりにみんなで遊ぼうよって……もしかして僕、この間に引き続き変なことを言ってますか」

「素敵な考えだと思うよ」


 素直な気持ちだったけれど、高浜さんは正面から受け取ってはくれなかった。多分、例の「見せてもらえませんか」の一件を尾花さんから散々に冷やかされたのが効いているのだと思う。忘れてください、といかにも恥じらって顔を押さえた後、雑念を振り切るようにお弁当を食べ始めた。


 食後には、高浜さんは漫画を読んでいた。

 尾花さんから貸してもらったという、『レイ』くんが出てくる昔の漫画を。


 退勤後、そういえばと私の足はゲームセンターに向かっていた。何だか一区切りがついた気がしていたけれど、全然そんなことはなかったと気が付いたのだ。私があの場所に通っていた理由は本来、子どもたちのゲーム奮闘記を傍で見守るためではない。運動。運動の秋はまだ続いていて、できる限りは一生続けた方がいいとも思われる。


 同じ三階同士だから、真っ直ぐに歩いていける。けれど、北側の方のエスカレーターを見たとき、私の頭には連想されるものがある。人形。確か月丸さんは、ここで見つけたんだっけ。


 そう思うと、高浜さんの言とも繋がるところがあるような気がした。

 おもちゃ屋さんからゲームセンターに行くまでの最短の道は、このエスカレーターを通る。あのお人形が子どもたちと遊びたいと思ったなら、この道を通ってゲームセンターに行って、その帰りに、けれどその小さな身体は力尽きて……そんな想像ができるような気もした。


 そこまで熱意を燃やせるゲームなら、もう一度くらいプレイしてみたいと思った。

 ゲームセンターに入る。今日は尾花さんはいなかった。シューティングゲームの筐体の前に座る。財布を取り出して、小銭が入っていないことに気付く。両替機に向かう。


 どうして『RAY』ではないのだろうと、ふと思った。


 ハイスコアの一位にずっと載っていた名前は、確か『XYZ』だった。『レイ』という名前と、関係があるとは思えない。些細な疑問だったけれど、それが私に別の想像をさせた。


 あのお人形は、本当に夜な夜な抜け出して、ゲームを遊んでいたのだろうか。


 本当に何度もそうしていたなら、そもそもハイスコア表に載る『XYZ』の名前は、たった一つで済むものだろうか。


 たとえば私の頭の中には、こんな光景が浮かんでいた。

 お人形は夢を見た。それは、あるゲームをしなければならないと、ハイスコアを更新しなければならないと強く思わせる夢だった。夜中、飛び起きて彼はお店を抜け出す。けれど小さな身体だから、なかなか上手く進むことができない。エスカレーターの途中で力尽きて、朝になれば連れ戻される。そんなことを繰り返しながら、段々と移動の距離は伸びていく。そしてとうとうゲームの筐体にまで辿り着いたその日、ハイスコアの一番上に自分が想像していたのとは違う名前――『MNN』が載っているのを見つけて、彼は安心して、その場にへたり込んで、朝を迎える。


 それなら、『XYZ』は誰?


 じゃらじゃらと、両替機から硬貨が出てくる。それを財布にしまい込む。確かめるすべは、と考える。


 月丸さんに訊いたってわからないだろう。エスカレーターの上りと下り、どっち側に『レイ』が落ちていたかを訊いても、そもそも彼が動いたのは夜の時間帯だから。動いていない以上、階段と変わらない。どっちがどうと言ったって、それは裏付けにはならない。


 唯一わかるものがあるとしたら、目の前のシューティングゲームの、ハイスコア表だけ。


 そこに『RAY』という文字が載っていたら、ハイスコアが更新されていることに気付かず、彼が一度だけそのゲームをプレイしたなら、あるいは――と。


 そこまで考えて、私はシューティングの筐体を迂回した。もっと奥へと進む。一番最初からの目当て、運動ゲームの筐体へ。幸いなことに、今日は誰もいなかった。気兼ねなくボードの上に乗って、硬貨を入れる。


 ゲームスタートのボタンを押す。


 それ以来、人形が持ち去られたという話は聞かない。


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