第13話 木乃香姉さんが何を考えているかわからない

「木乃香姉さん、まだ?」


「もうちょっと待って」


 日曜日になり、木乃香姉さんとデートに行く事になり、彼女が来るのを待つ。


 着替えに時間がかかっているようで、中々玄関まで来なかった。


「お待たせ」


「おお、似合っているよ」


「ありがとう。じゃあ、行こうか」


 白のトップスとスカートというカジュアルな服装ではあったが、木乃香姉さんによく似合っており、思わず見とれてしまった。


 今日もデートだから、楽しみだな……何とか関係を進展させたい。


「わあ、このアクセサリー可愛いなあ。一回、回してみようっと」


 二人でショッピングモールに行き、そこにあったガチャガチャにあるアクセサリーが気に入ったのか、木乃香姉さんはお金を入れてガチャを回す。


 何だかよくわからない猫っぽいアクセサリーだけど、こういうの好きなのかな……。


「えへへ、どう? 可愛いでしょう?」


「木乃香姉さんの方が可愛い」


「もう、何言ってるの。じゃあ、次は何処に行こうか?」


「えっと……カラオケが良い」


「え? 良いよ」


 近くのカラオケボックスに木乃香姉さんに行きたいと言い、二つ返事で木乃香姉さんもOKしてくれた。


 むふふ……二人きりで密室だぞ。何をするかわからないからな。


「えーっと、ドリンクはコーラで良い?」


「うん」


 中に入ると早速、ドリンクを頼み、ソファーに座る。


「何歌おうかなー……ん? 何?」


「あのさ……キスしてくれない?」


「え? ど、どうしたの急に?」


「いいじゃん。してよ」




 木乃香姉さんに密着するくらいの距離で隣に座り、手を握って、おねだりをする。


「ここ、カラオケボックスだよ。ほら、ドリンク飲みなさい」


「じゃあ、ホテルにでも行く?」


「未成年を連れて行けるわけないじゃない。ちょっと盛り過ぎだよ、ハル君」



 かなり強引に迫ってみたが、木乃香姉さんはコーラを飲みながら、見事にあしらっていく。


 こういう所は本当に大人だな……俺に道を誤らせないために、姉として保護者として大人の対応をしているのだろう。


 しかし、もう我慢しきれない。


「キスしないと泣く」


「んもう……じゃあ、ちょっとだけよ。ちゅっ」


 強引なおねだりをした結果、ようやく木乃香姉さんは頬に軽くキスはしてくれた。


「もう一回」


「甘えん坊ね、本当。じゃあ、おまけよ。ちゅっ、ちゅっ♡」


 更におねだりをすると、木乃香姉さんは両方の頬に相次いでキスをしてくれた。




 彼女の柔らかい唇が頬に触れるたびに、ドキっとしてしまい、理性が削がれていく。


「ほら、折角来たんだから、歌おうよ。きゃっ!」


「んんっ!」


 もう我慢できなくなり、細身の木乃香姉さんの体を抱きしめて、彼女の唇を強引に奪う。


 これでもう俺の女だと言い聞かせるように、唇に吸い付いていった。




「んんっ!んん……はあっ!」


 それからどのくらい口づけをしていたかわからないが、ようやく口を離し、木乃香姉さんも潤んだ目で俺を息を切らしながら見つめる。




「ん……どう? 気が済んだ?」


「え?」


 離れた後、木乃香姉さんはコーラを一口飲んで、俺にそう訊いてきた。


「気が済んだよね? それともまだしたりない?」


「えっと……」




 弟にキスされたというのに、何の感慨もないのか、平然とした冷たい口調でそう訊いてきたので、しばらく呆気に取られる。


 何とも思ってないのか?


 あれだけキスをしたのに……嫌だとか止めてとか言うかと思ったが、何の抵抗もせずに受け入れておいて、そんな冷たい言い方をしてくる彼女を見て、何かが崩れ落ちるような気分になった。




「じゃあ、歌おうか。何を歌おうかな……きゃっ」


 もっと反応が欲しかったので、木乃香姉さんの胸を思い切って触る。


「こ、こら。セクハラだよ」


「いいじゃん、しちゃおうよ」


「ん、もう……駄目だよ、ここじゃ……」


 流石に木乃香姉さんも嫌そうな顔をして、俺の手を振りほどくが、とにかく拒絶の反応だけでも見れたので、さっきよりは良かった。


「どうしたの? 変だよ、ハル君?」


「木乃香姉さんとセックスしたい」


「ハッキリ言わないでよ、そんな事……困るよ、そんなの。未成年でしょ、ハル君。バレたら、私が警察に捕まっちゃうでしょう」


 そんな事はどうでも良い。


 こんだけハッキリ言ってるのに、のらりくらりというか、あしらうような態度を続ける木乃香姉さんが許せなかったのだ。


「ごめん……もう帰ろうか」


「え? う、うん……」


 もうカラオケで遊ぶ気がなくなってしまい、コーラを飲んだ後、さっさとカラオケボックスを退店する。


 二人きりの密室でここまでやられても、木乃香姉さんは俺を意識などしてくれない。


 これでは打つ手がないような気がしてしまい、



「ただいま」


 結局、その後二人で家に帰ってしまい、木乃香姉さんと共に家に入る。


「それじゃ、着替えようっと……きゃっ!」


 背後から木乃香姉さんの胸を背後から鷲摑みにする。


 ここは自宅なので、誰も邪魔なんか入らないぞ……。




「こ、こら……調子に乗らない」


「ねえ、嫌じゃないの?」


「嫌っていうか……そういう事するハル君がおかしいよ。離れなさい」


 胸を背後から思いっきり揉んでも、口で抵抗するだけで、俺を振りほどこうともしなかったので、すぐに離す。


 こうなったら……。




「ほら、着替えるから出て……あんっ!」


 その場で木乃香姉さんを押し倒し、ブラウスをたくし上げて下着姿を露にする。


 ほら、ここまで来たらもう犯罪だぞ。


「やめ……んっ、んんっ!」


 押し倒してすぐに木乃香姉さんと唇を強引に重ねる。


 このまま、一線を……。




「んん……はあっ! だ、駄目よ……」


「嫌がらないなら、そのままやるよ」


「……そう。じゃあ、好きにして良いよ」


「え? いいの?」


「ハル君の気が済むならいいよ」


 彼女の胸や太腿を揉みながらそう迫ると、木乃香姉さんがまた視線を逸らしてそう口にしたので固まる。


「…………悪い」


「え?」


 嫌とも俺の事を好きだとも言ってくれなかったので興ざめしてしまい、そのまま木乃香姉さんから離れる。

 気が済むまで、好きにして良いって何だよ?

 嫌ならむしろ嫌だ、付き合えないとハッキリ言ってくれれば良いのに、俺の好きにさせるって、まるで子供扱いじゃないか。

 ここまでやっても、俺を男として見てくれず、拒絶反応すら示してくれなかったのはあまりにも悲しく、何も言えないまま自室へと戻ってしまったのであった。

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実は血の繋がってない姉と弟が両片思いだったら、くっつくのは時間の問題だと思いませんか @beru1898

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