第4話 実力者
歩いていると多数の人がいる地区に。休日の遊園地並みに込み合っている。
「店長、おかわり」
「あいよ」
ここは喧嘩は禁止の安全地帯。廃墟の料理店を利用していくつか食べ物を提供している店がある。順番待ちができるくらい盛況。他雑貨屋などもありうまくやればここで暮らすこともできそうだ。食事をして一休みをしまた見学、日が落ち、夜空に星がきらめきだす。
「今日はここまでにしておこうか」
安全地帯で寝袋を準備している人達がいる。ここに来慣れている人達だな、山の中だからここまで行って帰ってするのは大変だ、俺も来週は持ってこよう。一旦帰宅し翌日また喧嘩の街へ、今日も見学。
(プロがいるな)
明らかに動きが違う人間がたまにいる、無駄な動きをしないから見分けやすい。基本強いがたまに負けている、ルールがないというところが弱点になっているようだ。喧嘩自慢はタフな奴が多い、勝ったと思ってもまだ意識があり逆転負けがあったりとドラマチックで面白い。おっと、素直に観戦している場合ではない、困ったな、俺よりも強い人がいる、これは相手に気を付けないと。多数の喧嘩を見る、夕日が差してきてそろそろ帰ろうかというところ。
「いけー!」
「やっちまえ!」
ひときわギャラリーが多い喧嘩が。もしかしてターゲットの能力者か? 俺もその喧嘩を見に行く。二メートル近くある男と日焼けした筋肉質の男が対峙している。おやおや、彼は見たことがあるぞ。
(大物が紛れ込んでいる)
大きな割にはコンパクトで無駄のない動きの大男。前蹴り、パンチのコンビネーションで相手を近づけさせない。そしてローを放った時に日焼け男が動き出す。なんと攻撃した足を駆け上がりあごに飛び膝を食らわせてノックアウト。まあこのくらいはやってのけるだろう。彼の正体は星練雪の兄、星練海(ほしねり かい)。能力者で星練流家伝体術の使い手。その実力は達人クラス。能力者の中でもかなりの強者として知られている。実戦を初めてみるが噂通りの強さだ。カイさんがバッジを回収、ギャラリーが散っていく。
「聞いてはいましたが強いですね」
「おお、見ていたのか、はっはっは!」
満面の笑みを浮かべながら歯を光らせている、カイさんは太陽のように明るい性格だ。髪型はドレッドヘアー、真っ黒に日焼けした肌、アクセサリーを大量に身に着けサングラスをかけている。現在能力者として妹の面倒を見ている、俺とアスラさんと同じような関係。噂の彼氏はカイさんのことだと思う。よく一緒にいるからね。
「ここへは技の試しに?」
「その通り」
中々公然と実戦ができる場所はない。技術を試すにはうってつけな場所なわけだ。話しをしていると夜に。
「ハッ!」
「どうした」
「いえ、大丈夫です」
それにしても黒い、暗くなってくるとさらに実感する。油断するとサングラスと会話をしている錯覚に陥る。軽く目の運動をして維持。
「じゃあまたな」
挨拶をして別れる。俺も帰るか、帰宅し就寝。偵察三日目。見学して太陽が頭の上へ、昼食を食べる。
「まだ能力者らしき人物を見かけないな」
ラーメンをすすりながらここまでの戦いを思い出す、今週は街に来ていないのかな。街にいる協力者に相談してみよう、廃墟の病院へ向かう。今は丁度患者がいないようだ。闇医者のところへいくと椅子に座りお茶を飲んでいた。
「どうした、体調不良か?」
「作戦コード5110」
「……仕事か」
今回の協力者、闇医者の先生。街の能力者について聞いてみる。
「ここを牛耳る男の名はジン。私もまだここへ来て浅くてね、名前しか知らないんだ。初期の頃はよく見たらしいのだが」
最初の頃はどんな相手とも戦っていたが、数が多く戦うに値しない弱い相手も含まれていたためキリがないとうんざりするジン。そこでバッジを10個以上持つ者だけと戦うと宣言、それからは人目に触れないように。先生にも居場所がわからないとか。
「バッジを10集めて街を歩いていると声を掛けられ戦うことができる」
うーん、こっそり会って確保しようと思っていたがどこにいるかわからないんじゃな、正攻法でやるしかないか。しかしどうする、俺よりも腕が立つ人がいるんだよね、10連勝って結構大変。おそらく勝つだけなら能力を使えば勝てるができれば使いたくない。変に噂になり有名になったりしたら大変だ。
「それなら任せてくれ」
強者の写真とこの街の地図を取り出し、色付きペンで円を描き名前を記入。
「この円は強者の行動範囲だ。彼らの縄張りに入らなければ連勝できるだろう」
ふむふむ、この地域は避けるようにしよう。10貯まっても挑戦しない強者。貯ってもバッジを返却してしまう。目的は不明だが目立ちたくないのだろう、ここのボスに勝って有名になると身バレして面倒とか。とにかくただ腕試しをしたいだけの人達。俺も目立ちたくはないが地元じゃないし大丈夫だとは思う。
「もしかすると彼らの中にはターゲットよりも強い者がいるかも。絶対に近づかない方がいい」
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