支配コーヒー

@Mitsuki11

支配コーヒー

 飲んだ人の心をコントロールできるコーヒーが、とある国の軍で開発された。そのコーヒーを民衆に飲ませると、反乱を抑制し、秩序を保てるという。コピ・ルアクというジャコウネコに食べさせて発酵させた特殊なコーヒー豆を、満月の夜に月光にさらしながら同じ顔をした大勢の黒髪の少女たちが、長い呪文を唱えて完成する。そのコーヒーはこの世のものとは思えないくらい美しい香りを放ち、誘う。支配者たちも、いつしかその禁断のコーヒーに手を伸ばした。それは本当に美味なのだ。支配する側も何かに支配されていく。人々は機械の歯車や電池のように生き、世界は無機質で雁字搦めになった。結局、この世界を支配してしている神とは何者なのか。満月の静かな夜、世界にはニャーッ!と私の声がこだまする。吾輩は神である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

支配コーヒー @Mitsuki11

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る