この作品を読んだことで、幼かった頃の感覚がありありと思い起こさせられました。
眠れない夜。いつまでも眠りにつけないでいる時間。その時間はなぜか、自分が「悪いこと」をしているような気持ちにさせられるものです。
そんな時、部屋の中に「怖い何か」が入ってくるのではないか。そのような想像をして、頭から毛布を被ったような経験をした人は少なくはないでしょう。
例え「怖いもの」が入ってきても、眠っている人間は安全。でも、眠れずに「それ」に気付いてしまったら、とんでもなく怖い目に遭わされる。
そういう「ルール」が自然と浮かんできて、一人で震えた子供時代があったことを、ふと思い出させられました。
この作品は、まさにそんな「幼少期の恐怖の原体験」を形にしたものだと言えます。
そんな懐かしい恐怖の記憶と共に、是非ともこのホラー短編を味わっていただきたい。