最終話:愛のために。
「それに私、ノルマ果たして天界に帰りたくないもん」
「私、結局天使としてもまだ未熟だし・・・」
「そんなことないよ未熟だなんて、うまくなってるよエッチ」
「最初はぎこちなかったけど今はうまくなってるよ、それに俺の上に乗っか
ってるリンデルはセクシーだし最高にエロいよ」
「最高にエロいってなに?・・・あのねエッチじゃなくて精神的に未熟
だって言ってるの」
「完璧な天使も人間もいないよ・・・みんなどこか未熟だから努力するし
頑張ろうって思うんじゃねえの?」
「わ〜まともなこと言ってる・・・晋ちゃん変」
「なんで俺がまともなこと言ったら変なんだよ」
「俺だって真剣になる時だってあるよ・・・クラスの女子口説いてるだけ
じゃないからな・・・つうかもう口説いてないし・・・」
「浮気者・・・その悪いクセも直さないといけないね」
「口説いてないってば・・・」
「つうかさ・・・俺さ、ひとつ心配なことがあるんだけど・・・」
「なに?心配なことって?」
「もし俺が女にモテるくらいい男になったらさ・・・リンデルは役目を終えて
天界に帰って行くんだろ?」
「もし晋ちゃんが私の手のかからないナイスなイケメン男子になったら私の
使命は終わっちゃうからね」
「晋ちゃんから解放されたら私は天界に帰っちゃうのかな」
「だろ?・・・だからそうなることが心配なんだよ」
「今の俺はリンデルがいない世界なんて考えられないから・・・いなくなっちゃ
ったら、世を儚んで死んじゃうよ」
「なに弱気なこと言ってるの・・・いつもの強気な晋ちゃんはどこへ行ったの?」
「俺は虚勢張ってるだけだよ・・・本当は打たれ弱い男なの」
「あ〜恵理奈さんが言ってた、晋平は虚勢張ってるだけだって・・・」
「そんなに私が天界に帰っちゃうことが心配?」
「心配で心配で飯も喉を通らないよ・・・だから俺はきっといつか蛾死するな」
「大袈裟な人」
「私、思うんだけど・・・きっと天界には帰らないと思うんだ」
「なんでか理由分かる?」
「分かんねえ・・・」
「その理由はね、きっと晋ちゃんは優等生にはならないと思うから」
「晋ちゃんは晋ちゃん・・・たぶん死ぬまで今の晋ちゃんのままだからだよ」
「あ、なるほど・・・」
「それが理由のひとつ・・・二つ目は・・・」
「二つ目は?」
「私が晋ちゃんと結ばれちゃったから・・・天使は結ばれた人と一生を共に
するの・・・」
「まじで?・・・・それ本当?・・・じゃ〜天界には帰らないんだ?」
「うん・・・約束する・・・私は天界には一生帰らない」
「だから、晋ちゃんは今のままでいいよ、前にも言ったけど、きっと晋ちゃんが
構成して優等生になっちゃったら晋ちゃんの魅力なくなっちゃうから・・・」
「お、俺、頑張らなくていいのか?」
「だけど、部屋のゴミは私にかたずけさせないでね・・・あと、朝は自分で
ちゃんと起きること、あとは浮気はしないこと、じゃないとエッチもさせて
あげない」
「分かったよ・・・そこはちゃんと守るから」
「エッチさせてあげないで思い出したけどリンデルまだ生理中なんだよな・・・
できないんだ・・・あ〜エッチしてえ」
「あのさ、ひとつ聞いていい?」
「生理があるってことは妊娠するってことだよな」
「うんそうだね・・・多分、今3ヶ月くらいかな?」
「うそ、まじで?・・・妊娠してんのか?」
「リンデルまだ15だぞ・・・それにリンデルと子供ふたり養っていけるわけ
ないだろ?」
「めちゃまずいじゃん・・・じゃ〜高校やめて働きに出なきゃ・・・生活費
稼がないと・・・」
「明日でも高校に退学届出して来てハローワークに行って来よう」
「あはは・・・真剣に考えてる・・・おもしろ〜い」
「え?なに?・・・」
「おバカだね・・・生理になってるのに、なんで妊娠してるのよ」
「あ、そうか・・・俺バカだ・・・でもよかった〜」
「って喜んでる場合か・・ったく3ヶ月くらいかなって、3ヶ月は心臓に悪いわ」
「ごめんね」
「でも、まあリンデルが天界に帰らないって言ってくれたから、どんなウソ
でも許しちゃうかな」
「そのくらい俺、リンデルのこと愛してるから」
「リンデルは俺のこと愛してる?」
「言って欲しい?・・・そうだな〜どうしようかな〜」
「もうじらさないでさ・・・言えよ」
最初、地上に降りることが不本意だった天使のリンデル・・・いつしか出来の
悪い晋平を更生されると言う目的から気づけば彼を愛してしまった。
そして晋平の過去を知ってさらに想いを深くした。
今では、晋平を更生させるって目的はどこかへ行ってしまって愛のために地上に
残ることを選んだリンデル。
神様の使命とは関係なく自らの意思として・・・彼女は地上の天使になった。
END.
不本意な天使のラメント。*私を困らせないで* 猫野 尻尾 @amanotenshi
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