第8話 居場所の一幕

いつものように、ある夜、コンビニに行って、灰皿の脇にしゃがんで、煙草を吸っいると、上から、声がかかった。「おたく、いわくつきですか?」僕は見上げると、同情の様子でチンピラみたいな兄さんが、聞いてきた。チンピラは、耳にピアスをしている。隣に赤いドレスを着た彼女を連れている。「いや。気分転換に、こうしているだけだ。」と僕は、言って、先ほど買ったパンを食べ出した。「ここで、食べるのですか!」チンピラは驚く。「ウチで食べるよりも、夜景を眺めながら、食べるのだよ。」「あんた、かわいいなー。友達になりましょう。」チンピラは、握手を求めてきた。「嫌だね。俺は、孤独に生きるのだよ。夢のためなら、孤独になれる。友達なんかいらない。」「そんな、さみしいこと言わないで。なんかあるのですか?夢ってさぁ。」「夢は地球再生だよ。簡単じゃないね。じゃあさぁ、あんたたち、次にまたここで会うようなことがあったら、また、話そうよ。」僕は、微笑むと、チンピラは、「風邪を引かないでくださいね。」と言って、隣にいる連れの彼女と一緒に、満足そうにして、行ってしまった。しかし、何で、僕は、こんなにも、人生を楽しく、過ごそうとしないのだろう?お月様が、夜の住宅地と麦畑を照らしている。

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