第7話 落ち着く居場所

先日、グループホームの世話人Tさんに、「あなた、生きることに向いていないわね!」と言われた。僕は、そのまま受け止めた。「確かに、そうです。僕は、精神疾患者だし、定職にも、ついていないし、妻子もいません。財産もありません。でも、この世に何か残したい。」僕は、その夜、コンビニに出掛けた。フィッシュバーガーを買うと、表にある隅っこの影に隠れている灰皿の脇に、しゃがみ込んだ。ポケットから、煙草を取り出して火をつけて、深く吸った。東の夜空には、山々から、お月様が出ている。月の光に照らされた麦畑、その向こうの住宅地とビル群。灰色の雲が長く、ぶつ切れに、夜空に浮かんでいる。路線バスがやさしく通過してゆく。目前に広がる駐車場。車から、カップル👫や、子供達を連れた家族連れが、笑顔で出てくる。しかし、灰皿の脇にしゃがんでいる僕の前を通過する人たちは、皆、無関心だ。でも、僕は、事あるたびに、ここに来て、しゃがみ込んだ。みんなや、夜景を眺めていると、とても、心が落ち着いてくるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る