梟と黎明とシュガースポット

第6話

　思考とは何なんだろうか。思索とは何なんだろうか。今の僕たちにとってそれはただの暇つぶしに過ぎない。でも過去の人類にとってそれは重要だったのだろうか。今ではもうわからない。ただただわかるのは、人間は思考する生物として進化して、山で狩猟するような原始的生命体ではなかったということだ。

　他の天体ではもっと高度な生命体が生まれたのだろうか。もっと低度な生命体が生まれたのだろうか。今の僕にそれを考えるのはナンセンスだ。今の僕はシュガースポットへ向かうので忙しい。それのただただ暇つぶしなだけだ。思考とはそういうものなのだ。

　スワンプマンのパラドックスを今思い出した。僕は沈没した人間でも、模倣されたスワンプマンでも、どちらでもおなじ行動をしていただろう。人間に価値はないからこそ人生は美しい。反証に聞こえるかもしれないが事実だ。価値がないものこそ美しい。これは僕が生まれてきて生きてきた中での結論だ。誰にだって否定されたくない。これが否定されたら、僕はどう生きて来たっていうんだい？