第5話

 かつてのインターネットや、SNSは廃れた。人間が居なければそういうコミュニティは成り立たなかったのだ。人間は居なくなった。消えたというより居なくなった。どんどんと数を減らし、少ない人類は醜い戦争で消え去った。残ったのは人間不信か、自分を愛している者か、またはただのでくのぼうだ。

 僕たちは一生も生きられないと思う。どこかで野垂れ死ぬだろう。だがそれは今この日ではない。ネイティブアメリカンの言葉ではないが、今日は死ぬにはいい日だ、とは言い切れないのだ。少なくなった人間はどこかへ隠れ、僕たちみたいな外に出ている方が珍しくなった。

 そうだね、檸檬。昔は人間が沢山いた。恐ろしかったよ。今はいい時代かって? とんでもない。どんな時代も恐ろしい時代だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る