悪夢だった

プロローグ

 悪夢だった。

どくどくと血が溢れる。その血はいずれ私を捉え、じっとりと靴にこびりつく。

身体が動かない。思い切り力を込める。はたまた、力を抜いてみる。ピクリともしなかった。

 起きない身体はそのままに、また眠ろうか。

気味が悪くて、できなかった。


 目が覚めた。

服に染む汗。額に張り付いた前髪と、脱力するような、不気味な疲労感。

今日は月曜日。時刻、八時十二分。

 走って学校に行かなければならなかった。



 ・・・



 自慢の俊足で間に合わせた学校の授業は、どうにも聞いていられなくて机に伏した。教師には何度か頭を叩かれたが、それどころではなかった。


 横に誰もいない帰り道。

嫌な夢を見て、やっとの思いで目を覚まして、走って、学校で眠って、歩いて、一人で帰る。私は、死ぬまで、この生活を繰り返すのだろうか。


 あぁ。

こんなにつまらぬ人生ならば、あの時、一緒に。


 ⋯やめた。失礼だと思った。

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悪夢だった @koinegai

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