第2話

 煙突の下あたりに着くと、そこは何かの工場みたいで門は閉まっていた。煙突には側まで近づけない。


(こんなもんだよな。)


 心の中でそう思い、僕はまた自転車のペダルに足をかける。


「さて、何処へ行こう?」


 僕はひとりごちて、また自転車で走り出した。


 コンビニを見つけ、まるで光に吸い寄せられる虫のようにコンビニへ入り、マンガ雑誌のグラビアページを立ち読みし、ジュースを一本だけ買った。


 遠くへ、出来るだけ遠くへ行きたい。


 どうせ明日も明後日も何もないのだ。


 そうだ海へ行こう。


 暗い暗い夜の中、

 自転車を走らせて僕は海へ向かった。


 人工の浜辺のある、大したこともない海へ。








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夜を駆ける @kawakawatoshitoshi

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