【詩】招待状のない音楽会
菊池昭仁
招待状のない音楽会
真夜中に開かれる 海辺の音楽会
君はやって来た 招待状のない音楽会
この波の音は聴衆 聞こえるだろう? 万雷の拍手喝采 そして息遣いが
聴いていておくれ 君へのシンフォニー
弾け飛ぶピッコロ 咽び泣くテナーサックス
闇を切り裂くバイオリンのハイトーン
クラリネットもトランペットも
チェロもコントラバスも そしてティンパニーも
僕の振るタクトを見て 君への愛を奏でてくれる
君のための交響楽
そうだ そうなんだよ
音楽は奏でられたその瞬間から消えてゆく それが宿命
美しく咲き 儚く散りゆく薔薇のように
恋も同じ 消えてゆくのが定め
どんなに熱烈な愛も 必ず終わりは来る
だから美しい だから尊い
音楽のように記憶だけが残る
僕たちが愛し合った記憶
君と僕が愛した 鮮やかな愛の旋律
僕はその記憶を抱いて消える
音楽がそうであるように
僕も消えて 伝説になるよ
心から君を愛している
いつまで続く 招待状のない音楽会
僕はタクトを振り続ける 君のために力の限り
秋の夜明け その最後の瞬間まで
月夜の音楽会は続く 招待状のない音楽会
【詩】招待状のない音楽会 菊池昭仁 @landfall0810
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