7日間で異世界完全攻略!
ピヨ幸
第1話 転生する前の、退屈だった俺の人生の話
テンポよくいく。
ここ最近、1日の体感時間が恐ろしく短い気がする。
1日があっという間に過ぎていく。
でもこれは、人間として当たり前の現象らしい。
人間は年をとるにつれて、1日の体感時間がどんどん短くなっていく。
この現象は心理学の世界では、ジャネーの法則とか呼ばれている。
どうやらこのジャネーの法則によると、「人間は年をとるにつれて、時間が経つのをどんどん速く感じるようになるという」事らしい。
でもこの法則も、普通に考えれば当然の事を言っているだけである。
人間は年を取るにしたがって新しい出会いや新しい発見がなくなり、日々の生活に新鮮味がなくなっていく。
どんな人間でも、何の新鮮味もない味気ない生活の中で、何かしらの感情を抱きながら生活していく方が難しいだろう。
新田拓海は34歳の元プログラマーである。
元々はプログラマーとして会社で働いていたが、2ヶ月前に退職した。
退職理由としては、職場での人間関係が上手くいかなかったからだ。
別に、会社を辞めた事について話す事もほとんどない。
前の会社を辞めたのだって、突発的に辞めたくなったから、辞めたのだ。
職場での人間関係が上手くいかなかったというのも、会社を辞める為の口実に過ぎない。
実際のところ、拓実(俺)は会社を辞めるのはこれで2回目だ。
拓実(俺)はプログラマーとして働く以前には、会社の事務員として働いていた。
その会社には、高校卒業後に少しだけ通っていたエンジニアスクールの紹介で入れさせもらった。
エンジニアスクールを辞めて事務員として働き始めたのが21歳の時だから、それから俺は34歳までの13年間、ダラダラと1人で生活してきた。
俺の趣味といえば、会社帰りに少しだけやるソシャゲーぐらいである。
それ以外に、拓実に趣味も特にしてみたい事もない。
あと拓実は生まれてこのかた彼女だって出来たことがない。
俺という人間は、どちらかといえば人当たりの良さそうな感じではあるが、それは只々八方美人なだけだ。
自分の芯が無い
拓実は、誰かと深い関係を築くのが正直得意ではない。
それは拓実が学生だった時から今この時まで全く変わっていない。
だからこそ、拓実には本音で話せるような、仲のいい友達もいない。
拓実はこの13年間、34歳になるまで人生を只々浪費してきた。
はっきり言って、拓実にとってこの13年間はあっという間だった。
この人生の中で、記憶に残っている事もほとんどない。
だからこそ、あの時自分が死んでしまった時も、すんなりとそれを受け入れる事が出来た。
拓実は2日前の午後6時10分、コンビニから家への帰り道でトラックに轢かれて死んだ。
あっという間の出来事だった。
そうして拓実(俺)は、その34年間の人生をそこで終わらせるはずだった。
7日間で異世界完全攻略! ピヨ幸 @yasunobu713
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