第45話 感謝のショートショート「好き」

 新年あけましておめでとうございます。

 旧年中は多大なるご支援を賜り、誠にありがとうございました。本年も引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。

 本年が皆様にとってより良い年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

 

 「お題で執筆!! 短編創作フェス」応募作品に対しまして応援やレビューをありがとうございました。

 皆様へのお礼といたしまして、ショートショートを投稿します。応募作品をお読みにならなくても楽しめるように書きましたが、お読みになるとさらにお楽しみいただけると思います。

 それでは、どうぞ。


 スマホの画面に表示された名字を見て、俺はしぶしぶ通話ボタンをタップした。

「よう、沢渡」

「余田か。新年早々、てめえの声を聞くなんて、最悪だぜ」

「俺だって好きで電話かけてるわけじゃねえ」

「何の用だ。俺は今、暇じゃねえんだ」

「彼女と一緒にいるんか」

「いねえよ。今、一人だよ」

「ちゃんとその子に『好き』とか『愛してる』とか、言ってやってるんか」

「は? なんだ、いきなり」

「まずは答えろや」

「……だから何の用だって聞いてんだろ」

「答えられねえのか」

「……なんでてめえに答えなきゃならねえんだよ」

「やっぱりな」

「何が」

「言ってやってねえんだろ」

「……ああ」

「おまえ、それでいいんか」

「よくねえよ」

「じゃあ、言ってやれよ」

「てめえは言ってんのかよ」

「当たり前だろ」

「……想像つかねえ」

「気合だ、気合」

「適当なこと言ってんじゃねえよ、もと不良が」

「そういえばてめえとの新旧ヤンキー対決、途中で終わっちまったなあ」

「もうやりたくねえよ。だいいち俺はヤンキーじゃねえ」

「十分素質あるよ」

「ケンカ売ってんか?」

「おお? やんのか?」

「上等だ!」

「彼女に『好き』って言えねえくせに調子乗ってんじゃねえぞ、このヘタレが」

「いかついツラして『好き』とか抜かすな。似合わねえんだよ、気持ちわりい」

「いかついツラで言うから効果あるんだよ」

「意味わかんね」

「とにかく『好き』って言ってやれ」

「なんでてめえに指図されなきゃいけねえんだよ。関係ねえだろうが」

「いや、この電話、日野さんから頼まれてかけてんだよ」

「えっ」

「今、代わる」

「もしもし、健?」

「……誠司さん」

「同期の子なんだってね、新しいパートナー」

「……うん」

「大事にしてる?」

「……うん」

「健のタイミングでいいから、その気持ち、伝えてあげてね」

「……わかった。あのさ」

「なに?」

「余田はほんとに誠司さんに、『好き』って言ってるの」

「うん。素直に伝えてくれるまで、時間はかかったけど」

「余田に代わってくれる?」

「はい」

「おう、代わったぜ」

「てめえだって時間かかってんじゃねえか」

「でも言ったぜ」

「俺ならすぐに言える」

「おう、やってみろや」

「じゃあ切るぜ。てめえよりも時間かけずに言うんだからな」

「無理すんなよ、ヘタレなんだから」

「うるせえ」

「言えたら電話しろよ」

「……おう」

 俺は深呼吸を三回したあと、織絵に電話をかける。

「どしたの?」

「おまえ、今、暇?」

「うん」

「オリ……」

「ん?」

「好き」

「どーしたの、いきなり?」

「だから、俺はおまえが好き」

「いや、わかってるけど」

「わかってんのかい」





【「お題で執筆!! 短編創作フェス」応募作品】


「キャッチボールをしようじゃないか」

https://kakuyomu.jp/works/16818093090667731073


「二人で分ける雪」

https://kakuyomu.jp/works/16818093090955518258


「だからネイル、買ってたのか」

https://kakuyomu.jp/works/16818093091236302342



【カクヨムコンテスト10応募作品】


★長編 …… 積読消化キャンペーンにぜひ!


一 「我ら曹魏の男」

https://kakuyomu.jp/works/16818093073870545686


二 「我が名は曹飛将」

https://kakuyomu.jp/works/16818093084499285834


三 「晋よ曹魏の上に立て」

https://kakuyomu.jp/works/16818093089251739920


四 「総務課の沢渡くん」

https://kakuyomu.jp/works/16818093085215443547



★短編 ……「お題で執筆!! 短編創作フェス」参加作品がさらに楽しめます。


「製造課のアレサンドラ」

https://kakuyomu.jp/works/16818093089260289290

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