第3話 デブリ管理者訪問
補習を終えてなんとか卒業を許されたアナヤは早速就職先に挨拶にいくことにした。
まあ、それもメアリー先生が行け行け言うからなのだが教えてもらった住所は第4ブロックとしか書いていない。
普通ダリアの住所はセクション番号、ブロック番号、そして番地というように3つの指標で表される。
第4ブロックは数字が示す通りダリアの建設が始まって間もなくできた区画で最も古い区画の一つである。
端末のナビゲーターに従い第4ブロックに到着、やはり古いコンテナということもありかなり薄汚れている。
「きったねえとこだなあ。」
そう、ボヤくとアナヤは入口にあるインターホンのスイッチを押して
「おはようございます。来週からこちらでお世話になることになったジャック・アナヤです。」
返事はなかった。何回かインターホンのスイッチを押して呼びかけを繰り返すうちに、突然中からバタンと何か人が倒れるような音がしたと思うとしばらくして扉が開いた。
「なんだい、こんな早くに。」
時間は朝の10時で決して早くはない。
姿を現したのは髪はボサボサで顔は髭だらけのなんとも冴えない中年男だった。
アナヤはもう一度同じ挨拶をした。
「おはようございます。来週からこちらでお世話になることになったジャック・アナヤです。」
中年男はさも面倒くさそうに
「ああ、新人さんね。来週からだろう。また、来週来た時にな。じゃ。」
それだけ言うと男は中に戻るとバタンと扉を閉めた。
「なんだい、あれは。」
職場も古くさいし先輩もやぼったいし、一気にテンションが下がったアナヤはそこを立ち去った。
肩透かしをくらったアナヤは久々にアカデミーの隣にある図書館に立ち寄ることにした。
別に何か本を読むとかではない。
そこに行けば多分、エリス・ブライスに会えると思ったからである。
アナヤとブライスは幼馴染でダリアで生まれ当然のごとく、プライマリスクール、ミドルスクール、ハイスクールそしてアカデミーまでもまあ最後のアカデミーはアナヤがかろうじて卒業できたので、かなり際どかったのだが、それこそ常に一緒に成長してきたのだ。
「エリス、デブリ管理局に行ってきたぞ。」
「あら。あなたにしては気が利いてるわね。」
相変わらずのぶっきらぼうな口のききかただがアナヤは慣れたものでそれには応えずさっき会ったデブリ管理者の事を一方的に話し出した。
「私は来月からダリア総合病院で働くわ。お互い頑張りましょう。」
ダリア @tamager
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