第4話 社会性を示す指標は、資産=借方に

 これまでいささか詳し目に 貸方=人間性 の欄を述べて参りましたが、今度はその複式性の反面となる 社会性=借方 の解説に入ります。

 こちらも、以前執筆したものがございますので、そちらを引用いたします。

 これは対談の一環として言うなら私の「影」にあたる人物が述べたものですが、おおむねここで述べるべき内容が入っておりますので、一部修正の上、こちらで引用させていただくことで御理解いただければ幸いです。


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https://kakuyomu.jp/works/16817330656910794572/episodes/16817330660506070426

第65話 社会性は、その人の資産である。



 さて、貸方の人間性については一通り申上げましたので、今度は、借方の社会性について述べて参ります。

 こちらは、人間性と違ってその人の内面というより外面、ソトヅラと言ってはいささか語弊もあるところですが、そちらにあたるものが社会性、これを、借方の側に設定いたしました。

 これは言うなら、企業の財務管理上の「資産」に当てはまるものです。

 後天的にその人が社会生活を営んでいく上での財産というべきもの、もちろん金に換算できるかどうかは全く問題ではなく、その手の能力全てをこちらに乗せて論じて参ります。

 ここで述べる社会性とは、人間性とある意味表裏一体の関係にあるものと、私は思料いたしております。企業の財務会計であれば金の裏付けのない貸借対照表はできませんが、こちらでは本人の努力次第で、人間性の側を日々高めていくことで、社会性の裏付けを作っていくことが可能です。


 では、どんなものがこの借方に入るか。

 例えば、目に見える資格とか金といったものも、預貯金や不動産などの資産も、入れていいでしょう。

 それ以上に、目に見えない財産一式、もう、さまざまなノウハウや名誉といったものもすべて、この借方には入っております。

 ですから、企業の貸借対照表以上に、この欄には様々な財産やノウハウが詰まっているのです。しかも、これは目に見えない、本人も、下手すれば周囲の誰もが気付かない、そういう財産もまた、ここにはあるのです。

 これが企業の貸借対照表なら、簿外資産の隠し資産のとなってややこしい話になるところではありましょうけれども、人間の資産には、本当に、人にも、まして自分自身にさえもわからない資産というものが、眠っている可能性があるのです。


 それを見つけることで、さらに自身を高めていくことも可能となってきます。


 企業の簿外資産は当然問題視されてしかるべきものですが、こちらの複式簿記上の貸借対照表に一見現れていない社会性と人間性の簿外資産というのは、存外気づかれないままになっていることが往々にしてある。

 それを見つけ出し、自ら若しくは他者の可能性を切り開いていくことも、十分可能です。何よりそれを見つけ出す努力も必要ってものです。これは犯罪でもなんでもありませんから。

 それを言うなら、自分探し、と言ってしまうと何だか青年期の何とやらになりそうですけど、まさに、それこそがこの社会性という資産の欄においてもっともじっくり見ていかなければならないことでしょうね。


 もちろんその隠れ資産というのは、本来資本もしくは負債の欄にも計上しておくべきものということになりましょう。

 そう。その、自らの隠れた資産の出処をきちんと見極めることも、自分を知ることにおいてものすごく大事なことじゃないですか。


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 人間経営を目的とした複式簿記においては、この社会性の部分、つまり貸借対照表上の借方に記載されてしかるべきものが記載されていない状態というのは、企業の決算において必要とされる貸借対照表と異なり、普通にあり得るもの、むしろない方が不思議なくらいのものと思っていただければよろしいでしょう。

 こちらの引用部分においても、そこはきちんと論じている積りですが、これは重要なことなのであえて述べておかねばなりません。


 いずれにせよ、自らの持つ資産、あるいは生きていく上で必要となる、言うなら生産手段ともいうべきものは、この資産欄にあるのです。そこに本来記載して、つまり意識していないことを見つける、あるいはすでに持っていることを明白に意識しているものもあるでしょうが、そこをどう生かしていくかが、社会性を高めていく上で必要となる意識です。この資産は、商業簿記上の資産以上に(いや、比較にならない程と言ってもいいかもしれません)意識して使っていかないことにはその効果を発揮させられませんからね。


 具体的には、どんなものがあり得るでしょう。ちょっと考えてみますね。

 タンス預金のようなお金なのか、あるいは人とのつながりなのか、ひょっとすると昔何かの折に得ていたノウハウや知識なのか、またはいずれ使うつもりでうちにおいてあるままの新品の財布なのか。

 いろいろ、そのような例を挙げていけばこのように揚げて行けそうですのであえて例示してみましたが、なかには自分の家の中を見回してみれば出てきそうなものもあれば、どこかで酒でも飲みながらふと思い出したことの中に何かがあるやら、とにかく、気付いているものもいないものも含めて、時々自分自身の資産の棚卸をしてみる必要がありますね。


 あ、私、今使っている財布は、数年前にファミリーマートで買っていたもので、まだその時の財布が使えるからというので約3年程自宅に放置したままになっていました。それなら売るか処分するかすればよさそうだけど、そのままで、ね。

 それがある時ふと気づいて、今の状況ならこの財布に変えるとよかろうと決心がついて、それで今の財布へと代えた次第。

 もしこの財布を売るかあるいは捨てるか、そうなっていたら、この財布は活用できないままで終っていたでしょう。

 こんなこともありますよって、そういう例えを出しておきます。

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