第3話 だいふくドラゴン、食す
すやすやと、眠り続けて、早5時間。
気持ちよさそうに寝ていますね。
まんまるいだいふくの形状なのでよく分かりませんが。
まあ、寝る子は育つので良いでしょう。
あ、起きました。
どうやら寝ぼけているようです。
千鳥足で、川まで向かいます。
眠気覚ましに、顔を水につけて、ついでに水を飲んで、準備満タンですね。
ちなみに、水で生地がふやけてしまうことはありません。ご安心を。コーティングされてますのでね。
あ、あと卵の時に鳥に引っ張られたトコ、少しずつ縮んできています。
きっと何日後かには治っているでしょうね。
ん?何やら元気がないようです。角がへにゃっと垂れています。
座って、前足をお腹に当てていますね。
お腹が空いたのでしょう。
今度は、食べ物を探しに出発です!
とはいえ、当然アテがあるわけでもないでしょうから、勘で探すしかないです。
首を振ってしっかり見渡して、足を動かしてたくさん歩いて。
お目当てのものは簡単には見つかりません。
動けば動くほどもっとお腹が空きます。でも、動かないわけにもいきません。
そのジレンマが、この子を苦しめています。
だんだんお腹も限界になってきました。
ここで空腹で動けなくなったなら、本当に終わりです。
食べ物を探しに行くことすら、出来なくなるのですから。
だいふくドラゴンが何かに反応しました。
遠くの林に、小型の鳥がいっぱい集まっています。
小型といっても、この子と同じ大きさですが。
もしかしたら、鳥が集まるところに、食料があるかもしれません。
けれども、鳥はトラウマでもあります。
卵の時に、食べられかけました。
それに、また襲われるかもしれません。
これは、賭けです。
鳥の元へ進む勇気か、諦めて他の所を探す勇気か。
だいふくドラゴンはずっとずっと、その方向を見ています。
見続けた後、そっぽを向いて、歩き始めました。
別の所を探すのでしょうか。
けれども、立ち止まります。
力無く、お腹を見つめています。
きっと、限界が近いのでしょう。
そして、ついに、走り出しました。
鳥の集う方へ向き直って、突き進んでいきました!
鳥の群れの付近まで、たどり着いたようです。
その周りを必死に探しています。ご飯にありつけるのでしょうか?
あっ!あったみたいです!
低木に成る小さな果実。
とてもとても甘い実です。
だいふくドラゴンはこれを好むのです。
実をちぎっては食べ、ちぎっては食べ......。
夢中になっていますね。
当然です。ギリギリでしたからね。
......
食べ終わったようです。
ちょっと一服......というわけにはいかないようです。
食べ物を取られたことに小鳥たちが気づきました。
怒って追いかけてきます!
だいふくドラゴンも逃げます!逃げます!
速さ的には、大丈夫そうですね。
だいふくドラゴンは割と素早いのです。
あっ!遂に、足がもつれて転んでしまいました!
小鳥の群れが、迫ります!
だいふくドラゴンの生態 山戸 @aaaautumn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。だいふくドラゴンの生態の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます