学生
隣乃となり
最低で最悪なにんげんだけどわたしは好きです、自分が
先生。
Q:誰からも愛されない子っているんですか。
A:きっとね。
Q:あなたはどうですか。
A:私は違います。だって幸せ者ですから。
Q:私はどうですか。
A:
お母さんのお腹の中にいたときからずっとわかっていたことがあるの。
わたしたち、いずれは死んじゃうんでしょ?
人間以外の動物っていうのは子孫を残すために生まれてくるけどわたしたちはその単純な目的に無駄に時間だけをくっつけちゃってそのせいで複雑になった。そうでしょ?
それは違います。私たちだって子孫を残すために生まれてくるんですよ。
じゃあなんで余計なものが多すぎるの。
知りません。あなたも僕もただ生きているだけです。そこに目的や意味を見出そうとするから苦しくなるのです。
あなたはそう思うんだね。
はい。
足だけが水に浸かっている。
あなたのせいでしょう、と何度も言われた。
僕はまた夢を見る。あったかもしれない、日常の夢を見る。お母さんがケーキを作ってくれたお父さんがキャッチボールをしてくれたお兄ちゃんがお菓子をくれた友達と花火を見た好きな子と水族館に行ったそしていつしか僕は大人になって結婚して子供もできて大変だけど幸せな毎日をそれがあって当たり前なんだと思ってしまうくらい麻痺してしまうくらい馬鹿みたいに日常になっていって僕が幸せ者だということも忘れてしまうくらい日常になってそれから僕はいつの間にか枯れ木のように老いていてすっと眠るように死ぬんだぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶあったでしょう。ありえたでしょう。僕のせいじゃない。ないのは僕のせいじゃない。
世界のせいです。
僕を愛してくれない世界のせいです。
かみさま、どうか。
友達と笑い合いながら誰かに死ねばいいのにと言っている自分を、許してください。神様、どうか、どうか。私に罰を与えないで。知っていますよね。私は本当は、本当は凄く真っ当な人間なんです。良い子なんです。わかるでしょう。あなたになら、わかってもらえるはず。だから私は今日も生きているのです。私は本当は良い子なんだと思えているうちしか、多分生きていられないな。
人は死んだらどこに行きますか?
またお母さんのお腹の中に戻るのでしょうか。それじゃだめだ。また迷惑をかけてしまう。次くらいは幸せに生きてほしいです。
地獄にいくかな。
地獄を見て地獄じゃないとこも見て天国に近いとこも見てもしかしたら天国だって少しだけ見れるかもしれない。齧れるかも。生きているうちでもできるね。したくなくてもできちゃうんだね。
どんなものかもわかってないのに仏になる方法を検索する夏休み。
僕は好きだった。
かみさま、どうか。
人の不幸を願っておいて自分の幸せは這いつくばってでも手に入れようとする私を、どうか許して。私は罰が怖いのです。それだけが、怖い。
自分を貶めておいて本当は大好きなんです。守りたいんです。助けてあげたい。残酷な殺しから守ってあげたい。過保護でいいんです。だってこの子に親なんていないんですから。
生きることは好きです。好きだから生きている。
それでも僕は、先生に聞きたいことがたくさんあって、溢れて溢れて止まりません。
学生 隣乃となり @mizunoyurei
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