第12話 第一次大規模侵攻 終幕

『今から避難地域に殲滅を漏らしてしまったのルインダーの大群がやってきます。アニマニウムは結合強化を最大でお願いします』

 ルインダーどもは遂に避難地域まで侵攻してきている。それを悟られないように戦闘放送が中止になったというわけだった。

「了解」

 黒色のドローンのそばにルインダーは群がり、ドローンに向かって殴り、蹴る。幸いドローンは消音機能をも搭載しているため、今の中の子供が不安に思うことはない。


#######


『七月九日正午。只今をもって大規模侵攻の終幕を宣言します』

 終わったのは丁度一日後。ローの24時間の激務にも終止符は打たれた。

「ああこれが【 】の奇蹟か!」

「これで城塞都市の作業に戻れる」

「軍部強化もしなければいけないな」

 上層部にも歓声が沸く。一人の少年に頼った脅威は、最深部までの侵攻を許した。紙一重ではあるが勝利で終わった。

 ドローンの集合地帯は、ルインダーどもの血が降り注ぎ、真っ赤に染まっている。それは一つの湖と形容できるほど。

 大規模侵攻後のマルクトは、大災害後と同じように荒廃していた。違いは、ルインダーの血が飛散しているかどうか。

 加えて、この後からは規模こそ大きくないものの、ルインダーの侵攻が続く。

 ローはそのまま戦場に出ることとなる。戦力はロー唯一人であり、侵攻そのものが終わっているわけではない。地震でいう余震は今も起こり続けていた。

 荒れ果てた灰の砂漠で今も疾走する影が一つ。黄昏の夕日に焼かれる。怪物を殺すことに特化したその狼は、今も一億人の命を守り続けている――。

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地獄に咲く美しき天蓋の花 アイの福音 みゃくじゃ@アイの福音 @myakuzya

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