海の家

譜久村 火山

第1話

私はいつもそうである

ああしたらこうなってしまう

こうしたらああなってしまう

と悩みに悩んだ末

いつも手遅れになってしまう

私は夏の間中悩んでいた

そして恋人もいないまま由比ヶ浜にやってきた

人はまばらだった

残暑を使ってサーフィンや海水浴をする人もいた

暇な大学生が肉を焼いていた

でも1番目立っていたのは上半身裸の屈強な男たちだった

不安に満たされた胸の中を痛みが波のように寄せては返す

湿った砂に刺さる木材の山

そこから伸びるトラックの痕

海の家は壊されていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

海の家 譜久村 火山 @kazan-hukumura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ