今日もサウナ

白川津 中々

◾️

六畳一間でのサウナ生活は快適だった。



窓多め日光直撃の間取りは超熱攻撃による災害を受ける。玄関ドアに触ると火傷するレベル。そういえば内見時に「あらかじめエアコン効かせときました」なんて言ってたなと。おいおいマジかよ四六時中冷房稼働させとけってことかよ。金がもったいねぇ。と焦燥したが逆転の発想。もうこの暑さを楽しんじゃおと部屋中目貼りして気密性アップ。ポンプを川に置きホースを伸ばして部屋のプールに直結。自然的水風呂を再現。たまにコンニチワするお魚で食費も浮くというサスティナブル。なお、ホースはエアコンを取り外して室外機との連結用の穴を使用した。当然エアコンは使えない。だがもはや人工風など不用である。涼は組み上げた水でとればよし。半永久的に楽しめる整い体験で常時リラックスタイム。無限デトックスでパーフェクトに人畜無害なのだ。まったくもって世界平和。美しき聖人の誕生。いい事尽くめの新生活。ただ、強いて弊害をあげるとしたら……




「あ、吉田さんまた会社にとまったんですか」


「うん、おはよう」



さすがにサウナに住むわけにはいかないから会社で寝泊まりせざるを得ないという点である。


デスク周りにはどんどん私物が増え、もはやどちらで生活しているのか分からない。けれど、家に帰ればサウナがあるという喜びはなにものにも変え難い。さぁ、今日も仕事を頑張って、汗を流そう……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

今日もサウナ 白川津 中々 @taka1212384

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画