第8話
Yが捜査を外れてから2日経っていた。
「先輩、どうですか?」
Yは、デスクに座って天井を見ながら物思いにふけっている先輩に声を掛けた。
「Y、もう昼なのに相変わらず眠そうだな。…ニュースを見ての通りだよ。まだ殺人犯が捕まってねぇからどこかしこで、犯人はあれだの、これだの。…捜査のことなら話すことはねぇよ」
「えー、ちょっと気になるじゃないですか」
Yがそう言うと、先輩はYの方をちらりと見て話し始めた。
「少し気になることもあるし、Yからも少し聞きたいことがあるからなぁ」
まず、現場に血のついた衣服が置いてあったこと。荷物が一部なくなっていたこと。そして、映像にあった自転車が見つからなかったこと…。
「その友達は、自転車で遠出したりするのか?」
「結構、趣味で遠出するみたいですよ?」
Yが答える。先輩はまた天井を見て考え始めた。
「でも妙だよな。逃げるならなんで血のついた衣服をそのままにして言ったんだろうな」
「確かにそうですね。…捜査は、友達を被疑者として捜索する感じですかね?」
Yは天井を見る先輩を見ながら聞いた。
「そうだなぁ。多分写真なら名前なり出して捜査するだろうなぁ。…あんまり話すと怒られっから話しかけんな!」
「すんません」
Yがそう言いい終わる前に、先輩は荷物をまとめて部屋から出て行った。その背中はいつもの面倒見のいい先輩から事件の操作をする先輩に切り替わっていた。
私に罪はない @longtimenosee
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