第3話 夏休み

 夏休みが始まり、塾の先生たちも休みに入ると、監視の目がなくなったことで、彼らの行動は徐々にエスカレートしていった。



 はじめの数日は、声の大きさが大きくなる程度(それでも相当うるさかった)だった。


 四日ほど経つと、先生の注意がないためか、回りへの遠慮もなくなり、教室内を走り回ったり、大声でゲラゲラ笑ったりと、おおよそ今年、受験を控える人たちとは思えない行動だった。同じ受験生である身としては、彼らと同じと見られることが屈辱だった。


 会話の内容も下品で、例えば、「あの先生、エ○くね? ヤ○たいわ~」や「あの注意してくる女子、うざくね?」などひどいものばかりだった。


 また、僕があまりのうるささに耐えきれず、家に帰ろうとしたときは

「お? あいつ(僕)帰るでww」

「うわ~ 絶対俺らがしゃべってるからやんw」

「草」

「けど注意してこんってことは、俺ら悪くないでしょw」

「それなwww」

「てゆーか、勉強集中できてないってことやん、だっさwwwww」・・・・・・


と、まるで、喋り続ける彼らよりも、集中できずに帰った僕の方が悪い、とでも言いたげな物言いで、怒りを通り越して呆れてしまった。

 この日はこれで帰ったため、その後、どうなったかはわからないが、この後も引き続き、喋り続けたであろうということは、想像に容易い。




 二週間がたつ頃には、彼らはもういえと自習室の区別がつかないのか、


・お菓子を持ち寄って食べる

→食べかすが落ちる、ごみの放置など

・爆音でのスマホゲーム

 →普通にうるさい、家出やれ

・急に歌い出す

 →マジでうるさい


など、思い出すだけできりがなかった。

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塾の陽キャを陰キャが粛清した話 Aの人 @kagakuya

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