八話
魔法が使えないことが分かった僕は、少しばかり落胆しながらも、首元にかかった不思議な発光隕石のペンダントのことを考えていた。
何がきっかけで光り出したのか、どういう原理で光り出したのか、そもそもあの石は本当に隕石なのか、そして何の目的で作られたペンダントなのか。
主にこの四つのことについて考えていた。
まず一つ目のきっかけは、ナーニャによるものか、時間か、言葉か、部屋の状態か、操作している人がいるか、空の状態によるものか、星の状態によるものかetc……まあとにかく原因として考えうる条件は様々、挙げきれないほどあるので、とても特定できそうではなかった。でも今後もこの石の様子を観察したら、もしかしたらきっかけが分かるかもしれない。
で、二つ目の原理だが、これはもうほぼ確定で魔法関係の何かだろう、まぁ魔法の可能性が高いと言っても、僕は実際に魔法を目にしたことはないから詳細は分からないが。魔法以外であんな何でもない石を光らせることなどできそうにもない、というか思い当たらない。今いるこの部屋にある謎の光も魔法によるものだと思うし、ああいう石を明滅させるものが魔法にあっておかしくない。
そして三つ目の、この石の正体についてだけど、これについてはもうよくわからないとしか言いようがない、そもそも僕には、大した石に関する知識も見識もないわけで、これがたとえ隕石っぽい形をした全く隕石とは関係ない石の可能性があったとしても判断はつけられない。
そして四つ目の製作目的だが、誰かの酔狂な娯楽によって作られたおもちゃの様な物かもしれないし、それとも本当に、魔法の補助のような、魔法に関する何かの道具かもしれない、両極端だが、しかしどちらももあり得る。しょうもない理由で作られているんだとしたら少し残念だ。
一通り考え終わった僕は、結局何もわかってないようなものじゃないか、と少し落胆し、肩を落とした。しかし、そのうち分かる可能性のあるものもある、と気を取り直して、考えている間しばらく放置してしまっていたナーニャを少し構った。 ふさふさな毛並みを撫でまわしてやると、ナーニャは嬉しそうに「ピピッ」と可愛らしく鳴いていた。相も変わらず、ナーニャはかわいかった。
しかし、先ほどの疑問を解決する手掛かりとなる重大なキーを、それほど遠くない未来に自分が手に入れることになるということは、暢気にナーニャを可愛がっている今の僕には、知る由の無い事だった。
星の魔女 諫崎秋 @Isazaki
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