第5話 テツカズのモノローグ(旧:鉄の平和)

 おれ自身の本体は、ここ現世にある。目を覚まして、いつもの通りに起きた。無事で何よりだ。今日も生きているぞ。


 おれの分身は魔法の能力を与えられて、異世界へと旅立っていった。防御・移動・回復・水の4種類の魔法だった。


 ん? 名前は、まだないのか?


 生まれたてのコドモをつれてトンズラする女親あまって、いるよね。そういえば、ハーグ条約ってのが、あったなあ。でも、そんなの関係ない。あれは、おれのコドモじゃないんだ。分身だからね。遠隔自立幽体だからね。養育費なんか発生しないよね。おれより図体し。


 そもそも、ロンって、ターマだけど、女だったのか? あれもおれよりだいぶ背が高いよなあ。Ronロン だとおもっていたら、実は Longロン だったのか?


 もしもあれが男だったら、つまり、男(おれ)のカラダをベースにして、もうひとりの男(ロン)が分身を生み出したことになる。から みれば、ってことになるよね。なあ。もう性別なんか関係ないよね。撤廃だよ、撤廃。みんなで風の谷のナメック星人になるしかないよ。ナメック星人は単為生殖だったか。厳密にはちょっとちがうのかも。でも、「龍族」と「戦士タイプ」が存在するとのこと。性別ではないのだ。


 おれのコドモじゃなくて分身だから、本体であるおれが死ねば分身は消えるとか。でも、分身に何かあったとしても、とりあえず、おれが死なないのであれば、それでいい。


 自分ファーストなのだ。平穏な日常こそ、すべてだ。


 でも、非日常っぽい異世界アニメとか、見たりするけどね。あれは、フィクションだからこそ安心して見ていられるのだ。命懸けの冒険なんて、自分でやるようなものではない。


 あとはまかせた。


 でも、気になるから、分身が何をやっているか、進捗状況を把握しておきたいような気持ちもある。それは、仕事が終わって帰って来て自分の部屋に戻ってからのこと。


 夢のような銀世界か。ただの夢だったのでは?


 もう少し時が経てば、わかることだ。

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