第4話 それでは準備をして出発だ

「同意してくれたものとみなす。それでいいだろうか?」


「わかりました。しかし、異世界は危険なのではないかと。」


「いきなり連れて行くのもよくない。まず、安全確保だ。あなたの肉体本体は現世にとどめておく。そのために分身をつくる。異世界に行ったときに移動・防御・回復・水の4種類の魔法を使えるように、分身のコアに術式を適用する。分身にもしものことがあっても本体は死なないが、本体が死ねば、分身は消える。そのとき、転生するかどうかを選択できるかもしれないが、やはり死なないほうがいいだろう。」


「報酬は、いかほどでしょうか?」


「金銭での報酬は出せない。だが、安全は確保する。さきに述べた4種類の魔法も、そのためだ。」


「現世での仕事は継続。空いた時間を異世界で、ということか。だが、やりがいはありそう、かもな。カタカナを日本語専用文字として取り戻し、ひらがなを日本語に取り戻し、英語にはアルファベット(ラテン文字)を取り戻し、その際、読み方がわかりやすくなるような綴り字改革も、ついでに。」


「ただし、現世の英語の綴りと大きく違いするのは、なし。現世と異世界で、交易に影響が出るのは避けたい。だからといって、ウェブスターみたいな小規模な微修正も、なし。」


「交易があるの?」


「"こちら"と"あちら"は、無関係というわけではない。だからこそ、カタカナの暴走も食い止める。そのために協力を求めたのだ。では、分身をつくるぞ。そこを動くなよ。」


分身が姿を現した。


「この分身、なんか見た目が若いな。」


「では、次だ。異世界に行ったときに移動・防御・回復・水の4種類の魔法を使えるように、分身のコアに術式を適用する。」


「これで魔法使いか。あくまで分身のほうだけど。本体は普通の人間だ。」


「では、連れて行くぞ。防御魔法と、移動魔法で、転移!」


「え? その2つの魔法って、現世で発動が可能なの?」


「夢の中だからな。なお、異世界での出来事は、分身を通じて現世の本体にも情報は伝わる。寝ているところを悪かったな。」


夢の中でロンとともにおれの分身は異世界へと出発した。




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