歩く詩集『秋風』

ヒニヨル

一歩目『秋晴れ』

そとへ

一歩

足を踏み出すと

湿気を含んだ残暑が

肌にまとわり付いた


物を知らない私は

晴れなのか

曇りなのか

わからない空色を見上げて

秋晴れかしら、と考える


スッキリしないこのお天気は

そうでは無いと

あとで知るのだけれど


弱くなった日差しと、

いつのまにか

聞こえなくなった

木の下の合唱と、

目に映るあれもこれもが

どこか憂いで見えて


失われていく

夏の姿と

清々しい思い出を

不意に

懐かしく想っている。



     Fin.





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