第3話 言葉の重さ
あれから少し時間がたった
季節は夏を過ぎて秋になっていた
それでもまだ自分の中で変化したものを表現はできていなかった
思い返せば、たかが20数年生きてきた中で自分の人生を達観していること自体が未来と自分への冒涜だったのかもしれない
この街を出るためには一体どうすればいいのか?
考えたって何も思い浮かばなくなっていた
そんな時、社内の人事があり仙台への転勤を希望する人は居ないかと公募があった
チャンスだと思い、応募してみることにした
その日の夜に母に転勤に応募した事を伝える事にした
母は転勤することに対しては何も聞いてこなかったがただ一言だけ
「一度きりの人生なんだから楽しみなさい」
その当時聞いた時は
「当たり前だろう」
そう思っていた
誰のものでもない自分だけの人生なのだ
誰かに指図をされる人生でもない
この時の俺は甘かったのだ
その「言葉の重さ」を知らずに
地元は離れて故郷を捨てる考えの浅はかさに
生まれ育ったこの街で @boston1686
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