第2話 本当の友達

成人式も終わり春が来た


あの同窓会以降は同級生とは誰にも会わなかった

何故帰ったのか、当時はメールで送ってくる人も居たが自分の中で「同じと思われたくない」感情が返事をさせなかった



4月が過ぎ、ちょうどゴールデンウィーク前に高校時代最も仲が良かった同級生から


「久しぶりに会わないか?」


と言われて最初は渋って居たが帰ると強制的なイベントとして俺の部屋にアイツは待っていた



アイツは高校を卒業して、家業の和菓子屋を継ぐために横浜の専門学校に通っていた


久しぶりに会ったアイツは何処か垢抜けて居て、こんな田舎に燻って居た自分が恥ずかしくなってこの間の同窓会の事も言えなかった



「自分がつるみたい人とつるむだけでいいんじゃないか?」


アイツは帰り際に一言だけ言って帰って行った

そんな、柄でもない事を言うやつじゃ無かったのに凄く大人びて見えてしまった



その夜は眠れずにずっと朝まで考えていた


「このまま、この地元で生きて死んでいくままでいいんじゃないか?」


もやもやして居たが朝にアイツからメールで


「また、会おうな!」


と送られた時に素直に「そうだな」と返せた自分に、何も答えがない中でもただ一つ


「本当の友達」


はこんな関係なのかも知れないと答えが出た


伽藍の洞の自分の中でもはっきりと「友達」と思えることが嬉しかった


「知人」と「友達」の線引きは今思うと難しいのかも知れない

だが「知人」には無く

「友達」にはあるものがはっきりとわかった気がした

それは言葉では表しにくいとても繊細な


「思いやりの距離感」


だった

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