生まれ育ったこの街で
@boston1686
第1話 大嫌いな街
この街は嫌いだ
この街には何もない
何故俺がそんな事を思ってしまっているのか、それには明確な理由がある
それは単純に「何もない」なのだ
田舎には田舎の良さがあるのだとはわかっている
だが、「中途半端」に栄えようとしている街には「中途半端」に何もない
人情や義理そんなしがらみが自分の足枷になってこの街を離れられなくなってしまっていた
20歳の俺はなんとなくこの街で生きて、なんとなく生涯を終えていく
そんな風に思っていた
成人式の日
俺の街では1月の寒い風が吹き、雪が降った
同級生達は皆進学していきこの街を離れた人、この街から通っている人が久しぶりに顔を揃えた
俺は就職をしていた
その時は何も皆んな変わらないと思っていた
だけれどもそんなことは無かった
同窓会でお酒を呑んだ際に急に同級生達が俺と違うと思い始めた
子供のような飲み方
テレビで見る酔っぱらい
「そんな事で?」
そう思う人もいるかも知れないが急に自分がこの場にいる事が恥ずかしいと思った
そう思ったとたんに「同級生」から「他人」に変わってしまった
今思えばこの時の自分の心を一言で表すなら
「伽藍の洞」
だったのかも知れない
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