第8話 仕事

 鉄道の事業は極めて順調で、新たな予算が下りたこともあり、機関車の配備や設備の向上などをすることができた。

 しかし、私は鉄道屋では無いのだ。

 本当にやるべきことは、議員になり、首相に選出されることだ。

ここまでの5年間は鉄道だけに脱線しすぎてしまった。

 私の本題はこれからだ。

 

 私には、「貴族になった後、身分制議会の貴族院議員になり、力をつけてから国王に接触、国王からの信頼を勝ち取り、そして首相に推薦してもらう」 という出世プランがある。


 このプランの第一段階である「貴族になる」をクリアした今、後は貴族院議員になるだけなのだ。

 

 なんと今回は前任の議員が急死し、貴族院の議席に空きが出来たので、なし崩し的に私が議員になることになったのだ。


 貴族院には推薦枠と選挙枠の二つがあり、推薦枠は、枢密顧問委員会からの推薦で選ばれるのだが、推薦されたとて強制力は無く、断ることもできるので、選挙枠と比べて、議席が少ない。

 今回は私以外にも複数人に声がかかっていたようだが、どれも断られたらしい。


 首相志望の私にとってはは中央からの推薦で議員になれることは本当に貴重なチャンスだ。

 つまりは国王に信任されているということである。

 ついに議会に乗り込むぞ!

 ジェーンハイゼン万歳!ハイゼニア連邦万歳!


 1ヶ月後、光暦1855年11月

 

 ついに私が議員になってから初めての議会が開催される。

 今までは議会の見学などで議会の雰囲気を感じてきたが、今日から議会が閉会する2ヶ月後までは私も議員として、この会議に参加できるのだ。

 議会の実情を掴む為に、議員としての立場からこの議会の議論を観察してみようと思う。

 

 ~午後5時~議会終了後


 やはりだが、王権派と自由主義派の対立は凄まじかった。

私も王権派の一員だ。代議士として、議員として、私も負けずに議論に身を投じて行こうと思う。


 また、大きな発見もあった。


 議会後に、自由主義者たちと雑談してみて分かった事だが、想像以上に自由主義者にも保守的な考えをするものが居る事。


 そして、議会を見て分かったのは、自由主義者達にも、かなり強い愛国心があることだ。


 特に後者については、想像以上に物だった。

 この議会では、誰もが国王に忠誠を誓い、崇高なる連邦を信じていた。

 それならば、首相になったとき、自由主義者たちは利用できるかもしれない。

 例えばそう、もし仮に隣国から挑発されたなら、その隣国に対して強硬な姿勢を取れば、それを利用して自由主義者からの支持を固める事ができるのではなかろうか。

 自由主義者と王権派をまとめる事ができれば、強力な国家を作れるはずだ。

 しかし、自由主義者には、わかりあえない所が在るのもまた事実。どうにかバランスの取れた政治ができるよう、研究していこうと思う。

 こうして私は議会に身を投じていくことになった。

 ついに最初の戦いが始まる。

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