『奥義は武術だけではない証拠本当にどんな作品も可能性あると取れる理念の某賞で一次て落ちた作品一部公開』

到達者師失人

期待できないと思うなら一話読んでできるものなら一次落ちで当然と感想してね

『本当にどんな作品も可能性あると取れる理念の某賞で一次て落ちた作品一部公開』


真偽を読者に判断してもらうために5話10話と13話公開

このレベルの14話の作品が一次落ち

この3つは中々の内容ですが他のも少ししたくらいでレベル的には大して変わらない内容です

まあ新しいのほど制作時間が早い未熟なのでその違いもありますがそこまでの差はありれません

このレベルの14話で一次で落ちる多くの人に受賞の門戸が開かれているという理念の賞が日本には本当に存在するのです

設定は縁屋という立場の主人公が人と妖怪の縁を見届けるという設定

これで不祥事でなく一次で落ちるなら多くの作家には厳しすぎる直木賞芥川賞をはるかに超える日本最難関の小説賞と理解してくれると思います

うたい文句的に知名度やポイントではないと豪語していたのですがこの内容て14話で一次落ち

さて私が間違っているのか否かは最後まで読めば理解できます


0005縁その五 見えざる守護者


今日も相も変わらない学生生活。

 学校に登校してホームルームの後休み時間を取り一限目の授業が始まりホームルームを除きそれを四回繰り返して今は昼休み。

 縁屋の件で勉強の必要はそれほどになくなってしまったが、何かあったときのために真面目に受ける。

 それには理由が二つあるまず一つ急に成績が上がれば悪目立ちするし、それを受けての教師の期待とかめんどくさい、

 最後の一つはへんな恨みを買わないことだ妖怪封印師妖魔使いそんな存在が存在する以上その関係者に恨みを買えば何をされるかわかったもんじゃない。

 一目でその関係者とわからない以上用心に越したことはない。

 力を手に入れて現実をおろそかにしても大丈夫なのは創作のの世界だけだ。

 世の中ただ力があればすべて叶うほど簡単ではないからな。


 「ツナグ聞いたか剣道部の高花の話」


 「どんな話なんだ木堂」


 こいつは俺の友人の一人木堂隆きどうたかし顔はそこそこ背もそこそこゲームなら背景かモブをやらせてもしっかり存在のないやつだ。

 別に馬鹿にはしていないこいつみたいに普通の学生の友人は奇を照らさずむ普通に一緒にいて面白い。

 いわゆるごく普通の友人の一人だ。


 

 「それがよう剣道部に高花って野郎がいるんだがこの前髪

を青く染めた超絶美人とデートしていたらしい!」


 ああ青花の奴か高花っていうのか詮索は野暮だは聞きはしなかったが。


 「そんなのそいつの勝手だろ」


 「そうなんだがまだ先があってよ! その場いた先輩以外見えねえとか言うんだよ! 先輩の友人もいわあせたらしいが見てねえって!」


 「そりゃ見間違いだろ完全に」


 まあ相手は妖怪だしな。


 「でもさ俺ちらっと見ちまったんだよ……この前校門前にいたその超絶美人の青い髪の子……先輩にきいた通りの姿で高花と合流したかと思ったらその青い子の姿が消えたんだよ……俺の目大丈夫かな……」


 「別にほんとでも嘘でもいいと思――」


 「エニシヤドノ! エニシヤ! ワタシノアルジ! オハナシアル!」


 と小鳥が窓から飛び込んできて声を張り上げ……ちょっと待てこの糞ほど目立つファンタジーな絵面考えろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお! と俺の心の中で絶叫がこだました。


 ◇

 「全くおぬしの主は何を考えておるのだ! 人子が鳥はしゃべらんとおもっいているのだぞ! おかげて周りの人子の記憶を消す面倒ごとを!」


 「まあまあ妖神様、で何の用事た?」


 「ワタシノアルジ! ネガイアル! キイテホシイ!」


 「わかった放課後な」


 「ムリ! ジカンナイ! イマスグ!」


 「そういわれてもな……どうしたらいい妖神様?」


 「ところでその主とやらはどんな存在だ?」


 「ワタシノアルジ! ワラシ! ナガイキ! ズットヒトノタメガンバッタ!」


 「やはり神の眷属か……仕方ない小僧のれさっさと解決するぞ」


 「でも学校は?」


 「さっき幻術をかけておいたから問題ない。丁度ここは屋上とかいう屋根の上で人目もない。さっさといくぞ小僧」


 そうせかし膨らんで雲に乗った妖神様の上に乗り小鳥に道案内を頼んだ。


 「でどこにいるのだそのわらしとかいうやつは」


 「コッチ! ソコノサキノ! ナガイイエ!」


 「ここって普通の……」


 「何を驚いておる。この国の人子ならだれもが知っている神の眷属の童だぞ。ならばいうまでもあるまい」


 「それってどういう……」


 「まだわからんか鈍い奴め! さっさと会いに行くぞ! 神の眷属としての最後の役目を見届けるのも神の一柱としてのワシの仕事だからな!」


 「コノヘヤ! アルジカナニイル!」


 「ここ普通のアパートだよな……」


 こんところに神の眷属ないかいるのか?

 俺は小首をかしげながら202号室の戸をたたいた。


 「カギはあけておいた入ってくれ今日は住人は戻ってこない」


 俺は戸をひらいた。


 「あがってくれ僕は座敷童の鈴この部屋にとりついている」


 そこにいたのは大人に成長したらさも美人だろうと伺える.おかっぱの可愛らしい着物姿の少女だがわずかに発光していて神々しくもある。


 「でっ! 何の要件だ座敷童が」


 「僕の腕を見てくれ」


 鈴着物の袖をめくった。


 「腕が透けている」


 「ああ僕は座敷童として寿命なんだあとひとつ福を授けたらこの世から消えるだろう」


 「その手伝いをしろと? ところで妖神様これは縁屋の仕事でいいのか?」


 「ああ含まれる妖怪の多くは徳を積めば神の眷属になれるこ奴も元は妖霊族という妖怪だからな」


 「わかった手伝ってやるけど何をしたらいい」


 「私を秋のもとに連れて行ってくれ! 僕は基本部屋以外に憑りつけない。唯一の例外は君の鏡だ縁屋!」

 

 「妖神様どうしたらいい?」


 「縁の鏡の鏡部分をこ奴にあてよ。本人の了解があれば鏡にとりかせることができる」


 俺は鈴に縁の鏡を当てた。

 すると


 「ほんとに入った」


 『マモルのいるところまで僕をつけていってくれ僕が誘導する』


 しばらく歩いて。


 「そのマモルってこはどんな子なんだ?」


 『あの子はとってもいいこで優しくて何故かあの子のことを考えると胸の鼓動が早くなって顔が熱くなるんだ。いつもマモルの子とを考えてしまうし、寝顔を見ているだけでとてもやさしい気持ちになる何度マモルに触れられたらいいなと思ったてことは百や二百ではない。何故かマモルから目が離せなくてずっと目で追ってしまうし、マモルがいるだけ胸が暖かいもので満たされるんだ』


 「それって――」


 「ふん! 神の眷属が人子に恋慕するなど馬鹿馬鹿しい!」


 『恋慕? そんなわけないじゃないか。僕は座敷童僕が幸せになるんじゃなくて人を幸せにするのが仕事だよ』


 「まだ気づかんかそいつに福を与えたいならあう必要すらあるまい」


 『それは――』


 「妖神様本人が気づくのが大事だと俺は思うよ」


 「そんなまどろっこしてことをしたらしこりが残こるだけだ」


 『……ここだよこの建物の中にマモルはいる』


 そこは大きな病院で俺たちはマモルのいる病室に向かった。


 「妖神様これでいいのかな」


 「何がだ小僧」


 「これでマモルに幸福を授けたら鈴は消えてしまうのだろ?」


 「結果は変わらん今日福を授けなけれこ奴は消えるだけよ遅いか早いかの話にすぎん」


 「そんな」


 『いいんだ縁屋僕は最後の福をマモルにあげたいこの部屋だ出してくれ』

 

 「妖神様これどうやって出せばいいんだ?」


 「適当にふってでていと念じればよい」


 「こうか……出た」


 「話を聞いてくれてかまわないから二人っきりにしてくれないか」


 「分かった二人きりにしてあげよう妖神様」


 「よかろう」


 俺たちが病室から出ると。


 「縁の鏡が光ってうっ――」


 『「次はどんな人たちが来るのかな」

「きたなんてかわいい子なんだろう」

 「この子マモルっていのかなんだろうこの子を見ていると胸の鼓動が早まって顔が熱くなるや」

 「本当にかわいいなあずっと目で追っちゃうよ」

 「マモルに触れたみたいなどんなかんじなんだろ」

 「むう、マモルが女の人が映っているテレビとかいうの見てるなんだろう少しムカってする」

 「なんだろうこの気持ち僕を僕だけをマモルに見てほしい見えるわけないのに」

 「あわわわわわわわわわマモルが熱出してねこんているマモルの母さん早く帰ってきて今の僕じゃ病は治せないんだ」

 「やっとマモルが落ち着いた僕がずっと手を握っていたおかげだといいな」

 「マモルが病を直すために行ってしまった……僕に残されたこの最後の福を授ればマモルは救えるでもなんだろうこの気持ちは涙があふれて止まらないよ……」

 「マモルとずっとずっと一緒にいたい……でも僕の残された時間はもう……手遅れになる前に縁屋に…………」』


 「縁の鏡から記憶が流れ込んできたのかまさかな早すぎる忘れろ小僧」


 じゃっかん気になる言い方だがそれを深く考える前に縁の鏡から光があふれだした。


 「妖神様縁の鏡から映像が」


 「どうやら小僧にこの縁を見届ける義務があるようだな」


 俺たちは縁のか鏡から投射される二人の映像を見つめた。


 「マモル今楽にしてやる」


 鈴はベットの周りを囲むカーテンを開けた。

 そこには点滴の管にまみれた十歳前くらいの少年がいた。


 「お……姉さん……誰?」


 「僕が見えるのか?」


 「お……姉さん……もしか……して……いつも……僕……苦し……い……とき……一緒に……いてく……れた……お……姉さん……」


 「ああそうだ僕は君に幸せを届けに来た」


 「お……姉さん……泣いて……る……だったら……僕が……幸せ……なって……お……姉さん……を……涙が……出ない……ほど……幸せ……して……あげ……る……」


 鈴の目からボロボロと涙があふれだす。


 「ああそうだな僕から最大級の幸せをプレゼントだ」


 鈴は目から大粒の涙を流し少年に触れると体が輝きだす。


 『マモルと離れたくない――

 マモルともっと一緒にいたい――

 マモルと寺子屋に通いたい――

 マモルとおいしいものを食べたい――

 マモルと友になりたい――

 マモルと祝言を上げたい――

 マモルと夫婦になりたい――

 マモルの子を産みたい――

 はは今気づいた――

 本当に僕はマモルが大好きだったんだな――

 初めて見た時から――

 マモル離れたくないよ――」』


 「マモルさよならだ」


 「うん……またね……お……姉さん……お姉……さん……も……幸せ……なって……ね……お……姉さん……だけ……じゃ……だめ……なら……僕が……幸せ……に……するよ……」


 「ああ……もう幸せだ……大好きな男を幸せにできるのだからなマモル愛して――」


 光に包まれた鈴は涙で顔を濡らしながら消えてしまった――

 これが選択できる本当に幸せな結末なのかわからないけど――

 鈴はきっと最後は満足していただろう――

 大好きな人の幸せを願い――

 最後に大好きな男の子のために命を懸けた最後の選択を使えたのだ――

 その想いは決して踏みにじられてはいけないのだから――

 鈴と俺たちの物語はこれで終わった――


 「信じられない奇跡だ! 全ての腫瘍が消えている! 障害も一つもない! 何があったんだいマモル君!」


 「いつも僕を心配してくれたお姉さんが助けてくれたの! お姉さんと約束したから大きくなったらお姉さんと結婚してお姉さんを幸せにするんだ!」


 「帰るか妖神様」


 「だなまたよくわからん奴だったな」


 「これから鈴はどうなるんだ?」


 「全ての力を使い切り勤めを全うした座敷童は神々に一つだけ功績に応じた願いをかなえてもらえる。まああの小娘の望みくらいなら簡単に叶うだろうな」


 「鈴の願いはやっぱり……」


 「知らん! 考えたくないわ!」


 きっと二人は幸せになるだろうな――

 そう言葉にしようと思ったが飲み込んでしまった――

 それはきっとではないから――

 二人は絶対に――


 裏話005

 使命を終えた鈴は願い事で現世に転生した。

 それから18年の月日がたち二人は再会する。

 学生の鈴との結婚は周りに物議が巻き起こったが出会って一か月で熟練夫婦のようにお互いことを理解するその姿に回りの者もいつしかそれを受けいれ福を持たらす座敷童であったため鈴は幸運の予兆にとても敏感で夫婦生活は万事うまくいった。

 そのため幼いころより鈴は周りの者から幸せを招くアドバイスをしてくれる福の神の生まれ変わりとして扱われ誰しもに愛されて育った。

 良き子宝にも良き友にも良き親にも二人は恵まれたマモルは家族と鈴以外の女性に興味がなく鈴も家族とマモル以外の男性にも興味がなく浮気とは無縁の夫婦生活を送ることになる。

 これは二人の想いを組んで願いをかなえる際の神たちのサービス。

 ただ言えること末永く爆発しろということだ。


00010縁その十 二人のために落ちた星


「縁屋起きてくれよ」


 それは蒸し暑い初夏の夜のことだった。

 暑くてぼんやりと覚醒した意識に聞こえる女性の声。

 と窓をたたく音。

 何故か外が明るい気がする。

 俺は眠気眼をこすりつつ部屋の端で一升瓶片手に眠りこける妖神様をゆすって声をかけた。


 「妖神様妖神様なんか呼ばれているんだけど対応して大丈夫か?」


 「なんだ煩い……この声は大丈夫だ……さっさと対応してこい……」


 「寝ちまったよ適当だな……はーい今開けるよ」


 俺は窓を開けた。

 すると光の塊が飛び込んできた。


 「僕は星姫星空女ほしぞらおんなという妖怪さ」


 その人物は人間でいえば十代前半くらいで女性らしい長髪に可愛らしい顔に明るい空気をまとっている。

 胸はそこそこだが全身が強く発光していて何故は眩しくなく細部まで彼女の姿を認識でき神々しくもある。


 【ほう珍しい星空女とはな】


 「妖神様って!? 透けてる!? 幽体離脱!?」


 【騒がしいぞ小僧ワシとて神の端くれこの程度は造作もない。話を戻そうこ奴ら星空女は夜空の星が輝く夜でしか姿を現せん妖怪だ】


 多分これ妖神様起きるのめんどくさいんだな。

 起きる代わりに幽体離脱とかどういうめんどくさがり方だ。


 「そういうことさ」


 「でっ何の用だ男でも探しているのか?」


 「その通りさ僕のツガイを探してほしい。種族は人子さ」


 【また馬鹿なことを星空女と人子の色恋は大抵ろくな結果は生まん。どうせ星空にしか姿を表せんお主に愛想をつかされたのであろう】


 「人子の色恋は大抵ろくな結果は生まん――だから僕達は心に決めたツガイとしか色恋はしない」


 【そういえば昔聞いたことがあったな星空女の一族は心に決めた相手と終生通じ合える秘術があると聞いた覚えがあるが……】


 「その通りさ。だから僕は一人の人子にそれを使って何度も心と体で通じ合った。子供はできたことはないけどね」


 【ならば簡単に探せるであろう何故見つからんのだ? そこまで深いつながりがあれば居場所など簡単にわかろう】


 「それが不思議なんだ僕が表れるときずっとあいつの存在を感じているんだけど。何百年どこを探しても見つからない。見守れるくらいの距離にいるはずなのにね……」


 【本当か? 何百年……信じがたい……小僧縁の鏡を使ってみろ】


 「縁の鏡よ! 縁を照らせ! あれ何も起きない……」


 【縁の鏡で探せないのはすで死んでいるか転生してこの世に生れ落ちてにいないかあとはこの地上にいないかの三択だけだ】


 「そんな確かに存在は感じるのに……」


 【知らんワシは寝るあとは勝手にやっとれ小僧この小娘に付き合ってやれ】


 「妖神様……俺明日学校なんだけど……星が出なくなるまで付き合うのはちょっと……」


 【そこは心配せんでよい。こ奴らは夜の神の眷属共に過ごすだけでその時間の数倍眠りについたように夜の神の加護により体は休まる。いくらつきあっても睡眠不足になどならん】


 「だったら一緒に付き合ってくれよ」


 【今晩は嫌じゃな。どうせこ奴ののろけ話に付き合わされて一晩つぶすだけだ。それに流石にしっかり眠んと酒は抜けんからな。こ奴に付き合えば明日二日酔いは確定だ。そういうわけで眠るじゃあな】


 「じゃ仕方ないな。話を聞かせてくれ」


 「僕とあいつの出会いは綺麗な星空の下だった。親に口減らしのためために捨てられたあいつは食べるもの物なく行き倒れていた――」


 『「お姉さん天女なの?」

 「いや違うよ。僕は夜の神の眷属星空の精さ」

 「別にいいや……最後に綺麗なものを見れたしもう……」

 「何を言っているんだ! 夜の世界の美しさは僕なんかよりももっと綺麗さ! これも何んかの縁だ! 君の夜のすばらしさを教えてあげよう!」

 「でもお腹が減って動けないよ……」

 「ふふ! それは心配いらないさ! 君に今夜の神の加護を与えたもうお腹は減っていないだろう?」

 「ほんとだ! あれだけ減っていたお腹が減っていない!」

 「ただしこの夜の神の加護は僕とともにいるとき限定だよ! だから僕が姿を現せない星の出ない夜にはこの加護の恩恵は得ることはできないから定期的に食事は必要だけどね。僕は星姫君は?」

 「おらはたろ吉」』


 「それから僕たちが知り合って数年過ぎた。たろ吉は元服してとある村で猟師になってね――」


 『「たろ吉いるか?」

 「ああいるぜほれ今朝取れたイノシシの牡丹鍋だ一緒に食おうぜ」

 「ああ旨そうだ最初は面食らったが食事はいいものだな」

 「そうだ忘れてた! 星姫の好きな甘味のはちみつ酒があるぞ!」

 「おありがたい大好物だはちみつ酒! でもいいのか毎回こんなもの食べて?」

 「大丈夫だお前のおかげで村のほかの漁師じゃできない夜の狩りができるから食うには困っていないからな。命の恩人で一番ダチに出し惜しみはしないぜ」

 「では早速頂くか」

 「おう食ってくれ」

 「旨いなこれはどうやって作っているんだ? 食わせたい奴がいるんだが……』


 「それからまた数年たったたろ吉の体は僕の背をいつの間にかこし村の娘たちから求婚を受け始めたころ僕たちは結ばれた――」


 『「なあたろ吉何故村長の娘との縁談を断った中々の器量よしの娘だと僕の目には映ったけど」

 「俺には心に決めた相手がいるからな」

 「どんな子なんだい? 僕の自慢の友と釣りあうか僕が判断してあげよう!」

 「俺が好きなのは星姫お前なんだよ!」

 「なっなっなっなっなっに何を――」

 「星姫お前は俺が嫌いか?」

 「嫌いじゃない――」

 「俺と一緒にいるのは嫌か?」

 「いやじゃないむしろずっと一緒にいたい――」

 「なら星姫俺はお前が好きだ! 大好きだ! 俺の嫁になってくれ!」

 「ぼっ僕は――」』


 「それから二十年とても幸せな日々が続いた。生まれて数千の年月の中で一番に……子供こそはできなかったが人生で最高の時間だった……だがある日を境にたろ吉は姿を消した――」


 『「星姫大事な話がある……」

 「どうしたたろ吉。妻である僕に何の話だい?」

 「俺はこれからやることがあるだからお前とはしばらく会えねえ……」

 「何をする気なんだい?」

 「お前を一生幸せにするためだ……」

 「今でも僕は幸せだよ? 子供はできるかわからないけどそんなのたろ吉といられるならそれでもいい」

 「それ――俺――死ん――き――前――一人――まう俺は――お前――同じ――生きたい――ため――俺――お前と――夜の――なる――ため――」

 「たろ吉どこに行ったんだ? 僕はお前を愛して――」』


 「あの日私はたろ吉の言葉をすべて聞けなかった……運悪く星空にかかった雲に遮られ僕の体が表せなくなってしまってね……何度も後悔して何度も雲を呪ったさ……それから百年たろ吉の家でのあいつを待っていたがたろ吉はついに現れなかった……」


 『「たろ吉どこに行ったんだ……僕を一人にしないでよ……」

 「僕に気に入らないところがあるならどんな所でも直すし……僕に作れるならどんなおいしいものでも用意するから……たろ吉……」

 「たろ吉僕は君を……」

 「たろ吉僕を嫌いでもいい……愛さなくてもいい……ただ一緒にいてくれれば……」

 「うわ~~~~~~~~ん! たろ吉……たろ吉……たろ吉……たろ吉……」グスグス

 「なんだろうたろ吉を感じる……たろ吉に見守られている……考え違いじゃない! どこにいるんだ? たろ吉!」』


 「こうして僕たちは――今日はこれまでのようだ。何かわかったら教えてほしい」


 「わかった」


 気づけば朝か中々長い話だったな。


 「さてどうだったのだ小僧?」


 「半分のろけ話だった」


 「だから言ったのだ。これも縁屋の仕事の一環だ。これからどうするつもりだ?」


 「とりあえず学校から帰ったら蛙丸吉の知り合いの鼻のいい妖怪よんでおいてくれないか?」


 「呼んでどうするつもりだ。あ奴の鼻は方角しかわからんぞ?」


 「手がかりくらい見つけられたらいいかなって思って」


 「まあいいだろう。ただし芋の薄揚げと交換だ。毎回ただ働きさせては丸吉もあ奴にも悪いからな」


 「じゃあほいビックサイスのポテチトリプルコンソメ味」


 俺は机の中からビックサイスのポテチトリプルコンソメ味を取り出し妖神様に渡した。

 ポテチ初心者にはやはり香り高いこれだな。

 味もコクも深い多くの人に愛されるあまじょばくてお酒に合うらしいし。


 「うむよかろう帰る前には呼んでおいてやる」


 「じゃ学校に行ってくる帰ったら頼むぞ?」


 「わかった前の河原によんでおくさっさといけ小僧」


 そうして放課後河原にやってきた。


 「おっいた丸吉は犬顔は……って酒くっさつーか犬顔まで酔いつぶれてる……」


 俺が川岸に行くと蛙丸吉と犬顔が酔いつぶれグースカ寝ていた。


 「仕方あるまいあの薄揚げ芋がうますぎるせいだ。そもそもあの小娘からゆかりものを借りているのか? なくては探せんぞ」


 「あっそういうえば忘れてた……」


 「なら無駄骨じゃな」


 「そんな」


 「わふ!」


 酔いつぶれた胴体が犬顔の妖怪が天を指さした。


 「妖神様どういう意味だと思う?」


 「どれどれこ奴の魂に聞いてみよう――何々なるほどこ奴は酒に酔うと探し人をゆかりの品なしに探せるらしい。わかるのは方向だけなのは変わらんそうだが」


 「それで空を妖神様――って可能なのか?」


 「可能といえば可能だが人子の範疇は超えた神技だぞまずありえんと思うがまあやってみて損はあるまい」


 その晩は雲もなく星空がきれいな夜だった、


 「縁屋たろ吉は見つかったのかい?」


 「それを確かめるためにここに来たんだここなら邪魔もないし汝らの縁に力を分け与える」


 俺は妖怪意思を取り出しそう唱えたすると妖怪石から飛び出した光は天に飛び上がった。


 「光が空へ何をしたんだい縁屋?」


 「やっぱり思った通りだこれで探し人には会えるはずだよ」

 

 「まさか小僧の予想が当たるとはなこれで解決だな。やはり酒を飲まんと気分が乗らんな。仕方ないこれも仕事の内だ」


 そういうえば河原では珍しく酒も飲まずシラフだったけどこれに備えていたのかな。

 解決時に酒飲んでたらまともな報告できないし縁屋の仕事は神々の娯楽要素もあるとか言ってたしな。


 「よう星姫久しぶり」


 この人がたろ吉か十代後半の和服の体格のいい青年に見える。

 中々のイケメンでこれで仕事ができる男ならもてていて当然だな。


 「たろ吉その若い姿はいったい今までどこに――」


 「実は俺お前と同じ夜の眷属にならないか夜の神に誘われてな。その修行を空でずっとしていたんだ。そのことを言おうとしたら運悪く雲に星が隠れて伝えられなかったんだ……その途中だったんだが今さっき縁屋のおかげでその修業は完了した」


 「夜の神の奴め相変わらずのようだな。秘密主義は度がすぎると困り悲しむやつがいるとあれほど――」


 「たろ吉お前は私を嫌いになっていなくなったわけとじゃないんだな?」


 「当り前だ俺はお前と一緒にいるために夜の眷属に――」


 「すまないたろ吉僕はもう――」


 「何を言ってお前体が――」


 星姫の体から光があふれす。


 「僕はお前を探すために大半の力を使ってしまった――最後にお前に会えてよかった――何をして……たろ吉!――」


 たろ吉は星姫を抱きしめる。


 「たろ吉巻き込まれるぞ! 僕たちの体は星々の力の塊その最後は触れるもの全てを巻き込んで――」


 「離すもんか! 俺はお前のためにいままで生きてきたんだ! 俺が夜の眷属になろうとしたのはお前と一緒にいつまでもいるためにだったんだぞ! 俺は最後の瞬間までお前と一緒にいたい! そのために俺は――」


 「泣くなんて男らしくないな――」


 「お前だって泣いているだろお互い様だ――」


 二人は大粒の涙を流す。


 「縁屋ありがとう予定はくるちっまったがこのままだったら悪い未来になっていたと思う」


 「ありがとう縁屋僕たちはいつまでも一緒だ! たろ吉!」


 「ああいこう星姫愛している」


 「僕もだ」


 光かさらに大きくなった。


 「たろ吉来世があるならまた僕を愛してくれるか?」


 「当然だ俺のツガイはお前だけだ」


 「ああ僕はこんなに愛されていたん――」


 光がはじけ光とともに二人は消え去ってしまった――

 それは流星のように一時ではあったけど――

 飛び散った光の一部が天に上がり空を見上げると二つの星が輝いている気がした――

 二人は星になったのかもしれない――

 永遠に離れない夫婦の星に――

 これは俺の勝手な考えだけどそうであったらいいそう心から思えた――


 「なあ妖神様二人はこれからどうなるんだ?」


 「このままいけば何かの生命に転生するのだろう。夜の神は秘密主義で何を考えているかはわからんが、悪い神ではない奴らに対して思うところもあろう」


 「つまりどうなるんだ?」


 「別にいう必要はなかろう。お前が考えている未来とおそらく同じだ」


 「そうかならいいんだ」


 二人の想いはすれ違い危うく悪い結果に繋がろうとしていたけど――

 結果二人の想いは通じ合った――

 その先は俺にはわからないけど――

 二人ならきっとまた出会い愛し合い今度こそ幸せな未来を作れるだろう――

 そう輝く星空に思いをはせると――

 一つの流星が満点の星空に流れ落ちた――

 でも俺は願い事は願わなかった――

 それはきっと天の星となった二人のために流れ落ちた星だから――

 


 裏話010

 たろ吉は星姫と過ごすうちに自分だけ年を取りいつか星姫を一人にしてしまうと悩んでいた

 そんな時に夜の神に眷属にならないか誘われその誘いに乗り空の星で修業することを決意する

 その星は大気圏近くにある空間にある星で厳密には星ではない

 妖星と言われ妖力のあるものにしか見ることができない夜の神の領域

 そのことを星姫に伝えようとするが運悪く雲で星が伝えそびれてしまう

 夜の神は徹底した秘密主義で眷属にすら詳しいことをかたらない寡黙な神でついに星姫にそのことを教えることはなかった

 その間星姫は力を切り売りして様々な妖怪にたろ吉を探してもらうが結局見つからず

 最後の手段として縁屋を頼った

 何故最後なのかというと人間よりはるかに強く多彩な術と力を持つ妖怪の方がたろ吉を見つてくれる可能性が高いと思っていたから

 何気に犬顔妖怪は多くの妖怪にできなかったたろ吉の居場所を方向だけでも探し当てている

 そしてそれから時は流れであった星を愛する二人の男と女は満点の星空の下出会い満天の星空の下婚姻の約束をして結ばれることになる

 二人の節目には必ず星の輝く夜の日でかれらは生涯夜の星々にに愛されていた

 それは夜の神なりの謝罪の意味が込められていたため二人の幸せは夜の神によって定まっていた



0013その十三 桜の花びらの散り際


「何読んでんだ木堂?」


 休み時間木堂が珍しく漫画以外の本を読んていたので俺は不思議に思う声をかけた。


 「何って絵だよ俺は芸術に目覚めたのさ」


 「このまえのここの学生の思い人の絵しか描かないっていう」


 「違う違うそれにあいつは普通の絵も描くようにっなたし噂では一枚数十万の値が付いたらとらしいが恋人にやるとか言ったたらしい……リア充め……いつのまに彼女が……」


 「まあずっと昏睡状態で死んだも同然同然だったからないないとっいてもあながち嘘じゃねえだろ」


 「お前あいつと知り合いなのか? よく知っているなそこまでは流石の俺も聞いていないぞつーか……あいつの絵のモデル幼馴染だとは知っていたが昏睡状態だったのか……こりゃさすがに逆恨みはいかんな応援しないとな……」


 「でっなんの絵なんだ?」


 「これだよこれ明治時代の名もなき画家の美人画の画集だ」


 「桜色の髪のきれいな女の人か……綺麗以外の絵の良しあしはよくわからんがかなりの熱が入った綺麗な絵だな。全部桜の木の下の同じ女性の絵か」


 「そうなんだよなんでもこの絵はその画家が個人的に書き溜めた絵らしくて市場にでて評価されてからが遅すぎたらしく絵に名もないからこの画家が何者が調べてもわからんらしい。噂だと春先のあそこの空き地に生えた桜の老木に運が良ければ見かけるからしいが俺も含め誰も見たことないがな。くーう! こんな美人桜の精霊でも幽霊でも妖怪でもいいからお近づきらなりたいぜ!」


 そして放課後俺は件の桜の木を目指していた春もそろそろ終わるがぎりぎり春といえる季節。

 それに何か俺の縁屋として勘が行けと言っている。

 歩くこと三十分ほどで桜の木が見えてきた。

 そこは町中の人通り少ない大きな空き地にあった。


 「ここかなんだもう枯れかけてるじゃないか……」


 「太次郎たじろうさん? 太次郎さんなの?」


 「違うよ俺は縁屋妖怪と人の縁を繋ぐもの」


 「私は花桜! あなたが噂の縁屋さん……お願いします……太次郎に合わせて!」


 その言葉ともに桜の老木からピングの髪の二十歳前後に見える美人が現れた。

 そのピンクの髪は艶やかで顔はただ美しイだけではなく男女の美しさとは違う桜や花を見ているようかも植物的な美さも垣間見える。


 「よく言ったぞ小僧! 縁屋としての自覚がやってできおったか!」


 「妖神様どこから――」


 「何きまぐれにおぬしの体に儂の分体をつけて観察してぉっただけよ。まさか縁屋としての自らの初名乗りに出くわすとは思わんっかたがな。縁の鏡にその小娘を入れて家に帰るぞ」


 「ここで聞いてもいいじゃないか?」


 「ド阿保をがいのまでの連中の大半がどれだけの長話だったと思っている……まともに付き合えば帰るに帰れなくなるぞ。それにこやつの力が持たんだろうな良くて七日実体を保てる程度しか力は残されておらん」

 

 「そうなのか?」


 「ええ私はもう命を終えるこの木は私そのものは私は春に咲くこの木の桜の精」


 俺たちは妖神様にのり俺の自宅に戻った。


 「でっ詳しく話してくれ」


 「私と太次郎との出会いは良く晴れた春先の日だった――」


 『「こら危ないでしょ! こんな高く登ったら!」

 「受け止めてくれてありがとうお姉さん落ちたら死んじまったかもしんねえや……」

 「でっなんでこの木に登ったの?」

 「おらの凧が木の天辺に……」

 「お願い彼に返してあげて」

 「木が勝手に動いて凧が落ちてきた!?」

 「私とこの木は一心同体だからね」

 「じゃあ姉さんが爺さんか言っていた木の精」

 「そうよ私が姿を現せるのは春の間だけだから気つけてね」

 「お姉さん名前は? おらは太次郎」

 「私に名はないわ」

 「じゃあおらがつけてあげる花の桜花桜かざくらなんてどう?」

 「素敵な名前ね。ありがとう太次郎君」』


 「それから春になると太次郎は連日私をだずねてくれてくれた。ずっと一人で春を過ごした私の胸が暖かくなったことをよく覚えている――」


 『花桜いるか?」

 「また大きくなったね太次郎。少し前までは小さくて可愛かったのに」

 「おらはもう十だかんな花桜は相変わらずだろ」

 「あら綺麗って言ってくれないの?」

 「からかわんでくれよ」

 「もう真っ赤になって可愛いんだから」

 「今日はこれを渡しに来たんだ花桜が蜂に話をつけてくれたからうちの蜂箱全で蜂が入ってくれたこれはその蜂蜜」

 「ああこの前の春の話ね。蜂さんが言ってた異国で行わせている蜂さんから蜂蜜を分けてもらえる方法の話うまくいったのね」

 「花桜の言う通りやったら蜂箱が蜂が近づいても刺さらなくなってお父もおっ母も喜んでいたよ」

 「これが蜂蜜蜂さんからお話は聞いたいたけどどんな味かしら」

 「どうだ?」

 「これが甘いというのかしら……すごく甘いわ……幸せな気分」

 「どうした花桜」

 「なんだか嬉しくて涙がでて……ずっと一人で春先桜を眺めることしかできなかった私が……こんなものもらって……」

 「大げさだな……またできたらもってくるよ」

 「うん……お願い太次郎の贈り物なら何でも嬉しいから……あれ? なんで真っ赤なの太次郎?」』


 「それから数年太次郎の家は蜂蜜で財を成し太次郎はこんなことを言ってきた――」


 『「私の絵が描きたい?」

 「そうだいいか花桜?」

 「別にいいけどどうしたのいきなり?」

 「別にいいだろ美人がいたらその姿を形に残したいのは普通のことだ」

 「よくわからないけど服でも脱ごうか? そういう絵も異国じゃかかれているらし――冗談よ恥ずかしがらないで」

 「じゃあ書くぜこれは異国の油絵とか言うらしい絵でなこの日のためにたくさん練習したんだ」

 「これが絵……すごい綺麗な色ね私ってこんな姿していたんだ始めみた」

 「そうだこれやるよ」

 「これは?」

 「姿を映す鏡と髪を整える櫛だ」

 「ありがとう大切にするね……太次郎がまた真っ赤になった」』


 「それからさらに数年たち太次郎は大人になりこんなことを言ってきた――」


 『花桜次の春になったらいいたいことがある」

 「どうしたの太次郎? 今じゃダメなのか?」

 「こういうものは順序てっやつががな……もういいか……俺はお前が好きだ! 確かにいったからな! 来年その先を言うから覚悟していろよ!」

 「なんだろうこの気持ち胸がドキドキして暖かくなってまって太郎郎いっちゃた。来年の春楽しみだな……今年の春も終わりか……」』


 「しかし太次郎は次の春姿を現さなっかた理由わからないもらった櫛がボロボロになるまで髪をとかし鏡を見続けたそれでも太次郎は――」


 『「また春が来た……でも太次郎は……なんでだろう涙が出る……気が遠くなる月日の春を一人で過ごしてきたのに……一人が寂しい太次郎……太次郎……太次郎……私を一人にしないで……」

 「もう涙も枯れてしまったでも……太次郎が私を裏切るわけがない彼のことなら私は何でもしっいる嘘をつくときの癖喜ぶときに必ず耳をひくつかせること太次郎さんが向けてくる気持ちだけは何か結局わからなかったけど……この温かい気持ちは何だろう……太次郎さんのことを思い出すとどんどんわいてきて私の胸を締め付ける……苦しいよ……太次郎……会いたいよ……」

 「私の命はあと数日よくもって七日かな……最後まで私は太次郎に……だれか来るこれで最後にしよう太次郎さん? 太次郎さんなの?」』


 「これが私か知りうるすべてだ」


 「わかった後は明日にしよう飯食ってくる」


 その晩夢を見た。


 『「誰でもいい俺の声を聞いてくれ! 俺を――のもとに――いてくれ! 俺はあいつを一人のまま終わらせたくはない!』

 

 なんよくわからない内容だな今回の件と関係しているのだろうが。


 「花桜太次郎さんからもらったものは手元にあるか?」


 「鏡と砕けてしまった櫛なら持っている」


 「そいうやこれどこに持っていたんだ? 春にしか姿を現せないだろ?」


 「下らんことを聞くな小僧いくら木々の精とは言えその程度の小物は体内におさめ持ち歩ける」


 「悪い余計なこと聞いたなここにそれを置いてくれ「縁よその持ち主を探し出せ」

 すると頭に光景が走った。


 『お坊ちゃんまたお出かけですか?」

 「まあな前買ってきたあれはあるか?」

 「手鏡と櫛ですね。旦那様も心配てましたよ……いい加減そのお嬢さんお二人に御紹介してらどうです?」

 「今その時じゃないな……中々むすがしぃ境遇の奴だし、それに花桜のおかげで俺んちは金持ちになったんだ少しぐらい返しても特に問題はないだろ」

 「しかし坊ちゃんすでに兄君がなくなり家を継げるのは坊ちゃんだけなんですよ……そこのところは――」

 「わっかた後でな花桜喜んでくれるかな」

 「今日俺は衝撃を受けた異国の油絵とか言う絵のことだ。俺はその日を境に絵に没頭していた春のあいつが書きたいただそれだけだ。最初は下手糞だったが一つ季節を過ぎるまで没頭すると春が始まる寸前にはまあまあみれる形にはなった春が楽しみだな」』


 縁の鏡の光をたどるとそこは空き地だった。


 「花桜で出来てくれ」


 俺は縁の鏡を振り花桜を外に出した。


 「花桜これからお前を太次郎さんと最後の縁が結べる過去に時をつなぐ時間制限があるからあまり長居しないでくれ。居座っても過去に戻れるわけじゃない」


 「わかった」


 「妖怪石を時を超え縁をつなげ」


 俺が妖怪石を掲げ呪文をとしなえると俺の前方の空間に穴のようなものがあらわれた。


 「じゃあ行ってくる」


 花桜は穴の中に入っていった。

 すると縁の鏡から映像が投射された。


 「すいませんみここに太次郎さんという方はいらっしゃるでしょうか?」


 「お坊ちゃんですか先月病でお亡くなりに――」


 「そんな――」


 「まさかあなたはお坊ちゃんの言ってらっしたゃお嬢さんですか? 確か名前は花桜さん」


 「そうです私の名前は花桜世界で一番大事な人につけてもらった名前です」


 「ではこちらをお坊ちゃんの遺言でして死んだから体を焼いて粉にしてどこかに撒いてほしいと言ってこと切れてしまいまして……しかしそこがどこかもわからず困っていたのですよ……遺言状では花桜のしてたとしか書かれておらずその最後にもし桜の髪の女性が訪ねていらっしゃいましたら遺灰を渡してほしいかかれておりましてから遺灰を近くの桜の木の下に撒くように仰せつかったのですがあなたにならたくせそうですね。生前坊ちゃんはとても楽しそうにあなたのお話をしていらってたんですよ。とてもお坊ちゃんはあなたを愛してていたのでしょう。お嬢さんのその涙を見れればお坊ちゃんも大層お喜び――あら姿がでも渡してた坊ちゃんの遺灰がまあいいかお坊ちゃん確かにあなたは愛されていましたよ」


 「戻ったか次は小娘の本体のところだ行くぞ」


 俺たちは花桜の本体である町のおお大きな空き地の桜の老木のところに移動した。


 「ふむ! なるほど小僧桜の根もとに遺灰をまき妖怪石を使え!」

 

 「なんでまた花桜の力を上げて再会開なんて――」

 

 「阿呆そんなことは百も承知だ! いいから使え使えばわかる!」


 「わかったよ! 妖怪石よ! 汝らの縁に力を分け与える!」


 俺は遺灰を全部さくらのろうぼくの根元にまき妖怪石を掲げ呪文を唱えた。

 すると妖怪石から出た光の玉が桜の根元に飛んで行った。


 「どういうことだ?」


 「あの遺灰は妖怪化していてなどうやら妖怪になっても果たしたい思いがあるようなのだ」


 「それって――」


 「いうまでもあるまい今回の縁の最後の時だ」


 『「おらはこんなめんこい子見たことねえなんだろう胸がドキドキする」

 「花桜は俺がつけてやった名前を気に入っているようだ。なぜかわからないだが花桜にみつめられているだけで顔がゆでタコのようにあかくっなてしまう」

 「この前花桜が虫と会話ができるというので家の空き箱に蜜蜂の巣を作ってもらえるかと頼んだら本当に巣ができていて俺たちが近寄っても蜂はささなくなったおっ父とおっ母は大喜びで体の弱い兄にいい薬が買えそうだ後で蜂蜜でも持っていてやろう」

 「油断した太次郎の贈り物なら何でも嬉しいといわれて心の臓がバクバクしてしまった……この気持ちはいったいなんだ……いつも花桜のことを考えてしまうし……」

 「俺は異国の油絵とか言う絵に出合いついに気づいてしまった俺は花桜が好きだ。でもこの気持ちはまだ伝えられる勇気はないだからこの気持ちは絵にぶつけて行こうと思っている。何枚も書いて完璧に花桜をかけたらこの思いを告白しよう」

 「それから春が何回も過ぎ俺が二十歳近くになったとき俺は最高の花桜の絵を描くことができた」

 「そろそろ春も終わる来年の春全ての想いをうちあけよう」

 「といいつつ好きだという思いだけは伝えてしっまたつい勢いでまあいいか来年になればまた花桜に会える早く春が来ないかな」

 「まさか最後の気持ちを伝える前にくたばるわけには俺は絶対あいつともしもしのために遺言を残そう花桜のおかげでおっ父とおっ母は金はある俺が死んでも何とかなるでも花桜らは違うどうしても俺は……」

 「俺は死んで体が焼かれ灰となったこのツボの中で待ち続ける花桜のために」』


 気づくと桜の老木には満開の桜が花開いていた。


 「久しぶり花桜妖怪石の力で俺のすべては伝えた」

 

 「太次郎バカバカ来年その先を言うから覚悟していろって言ったじゃない……」


 花桜は泣きながら太次郎をポカポカたたく。


 「花桜」


 「何よ」


 すねる花桜。


 「俺はお前が好きだ俺と夫婦になってくれ!」


 「駄目よ」


 「なんで――」


 「私はずっと考えていたの太次郎へのこの気持ちを今理解できた太次郎好きよ! 大好き! 何度生まれもあなたを好きになりたい! 私と夫婦になってこの言葉だけは私が言わないといけない気がするから!」


 花桜は太次郎に口づけをする。


 「さあいこう俺の体は不完全に妖怪化している外に出れば数分と命は持たないその流れに乗ればお前とともに天に昇れるはずだ」


 「ええいきましょうあなた」


 「ああそうだな」


 光に包まれる太次郎の差し伸べた手を握る花桜。


 「ありがとう縁屋さん最高の最後の時をくれて私の気の遠くなる命の中で最高に幸せ」


 「縁屋殿私たち夫婦が大変お世話になりました。特に俺はできませんがあなたの幸運を願います」


 「次生まれ変わったら何をします」


 「毎年動けなくなるまで子と孫を連れれて花見をしようお前みたいな美人な桜の下で」


 「ふふ私以上の桜なんてありますかね」


 「ああないだろな花桜お前は俺が出会えた中で最高の女だ」


 「ああ私はこんなにも――」


 光に包まれ天に上った二人の光が消えると――

 満開の桜もすべて散ってしまった――

 二人の最後の姿に花を添えるような桜の花吹雪は――

 吹いた風に乗りいづこかに消えていった――

 きっと花びらたちは散り際をわきまえていたのだろう――

 この木に咲く最後の桜としての最高の散り際を――

 こんな綺麗な花を添えられた二人の未来が幸福ないわけがない――

 きっと散っていた桜の花びらたちもそれを知っている――

 最高の散り際をした彼らなら――


 「なあ妖神様これからあの桜はどうなるんだ?」


 「引っこ抜かれるなかれてしまったしまあ新芽は生きているしこれから公園に整備されてもまた桜として咲き誇るだろうよ」


 「その桜二人の子供かな」


 「何を馬鹿なことを木と人子の間にガキなどできんよ」


 それでも俺はその芽吹こうとしている新芽は二人の子だと思えた――

 種の枠組みを超えた二人の想いの子――

 血や肉ではない魂のつながりの子供――

 きっと二人は大きく成長したその桜の木の下でお花見をするような光景が見えた気がした――

 これは勝手な憶測だけどそうあってほしいと思えた――


裏話013

花桜は虫と話せていてそのおかげて太次郎の家は養蜂家として成功を手にした

普通の養蜂と違い防護服なして近づいても蜂は襲ってこないため多くの人が買いあさったが花桜が防犯のため太次郎と同じ血をつくものと近しい関係のものしかその効果は発揮されにいよう虫たちに言っていたため

買ったところで普通の蜂と何も変わらないためすぐに下火になった

父と母はその養蜂技術をもたらした太次郎に大変感謝しており周りの家から蜂目当てで縁談の話がたくさん来ていたがすべてを断っていた

暫くして二人兄弟の兄が死に家を継がなくてはいけなくなるはずてあったが太次郎は財産を売り払い花桜の近くに家を建て生きようと思っていたが病に倒れなくなってしまう

その思いが不完全ながら妖怪になりその力を理解した太次郎はその時を待っていた

そして本編につながる

太次郎の両親はその後子は設けられず人を襲わない蜂の養蜂箱は彼らの代で途絶えた

虫たちは太次郎の死は知っていたが空気を読んで言わなかった

仮に言っていたら馬鹿なことをしかねないほどの熱愛だったから

その何十年後花桜の下に芽生え立派な桜を咲き誇る桜に成長した桜の木の下で毎年花見を開く一組の夫婦の姿かあった

その夫婦が何者であるかは語るまでもないだろう

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『奥義は武術だけではない証拠本当にどんな作品も可能性あると取れる理念の某賞で一次て落ちた作品一部公開』 到達者師失人 @siusiboto

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