3 . 隣 人

かれこれこんな生活がもう1ヶ月程続いている。


変わったことと言えば、


朝食とお昼も私が眠っている間に作られるようになったこと、私がメモに返事を書くようになったことだ。


仕事中も特にストーカーのことは気にならなくなっていた。


上司から断られない飲みに誘われた日には、朝食に添えられたメモに書いておけばその日の晩御飯はつくられない。


代わりに、水や鎮痛剤など酔い対策のものが置かれていて、朝になれば温かいしじみ汁がある。


顔も名前も声も性別さえ知らない人物に助けられている。


私はそのさながらヒーローのような存在から、海外映画のスーパーヒーローの大柄のスパダリ男性を連想してしまっている。



「矢部さんこんばんはぁ、お仕事お疲れ様です」


あぁ、もう1つココ最近で変わったことがあった。


お隣に近所の大学に通う女子大生の市川さんが入った。


バイトなのか良く帰宅時に会い挨拶と世間話を交わす程の仲にはなった。


この部屋に入居してからご近所さんの中では初めて仲良くなれた人だ。この縁を大事にしていきたい。


市川「それじゃぁおやすみなさい」


「うん、おやすみ」


そこからはいつも通り晩御飯を食べてお風呂に入り寝る。




夜中に何かの物音で目が覚める。


キッチンからの逆光で影だけが見える、その影は私の想像に反して小柄だった。


その影は調理をしていて感謝を伝えたがったが、伝える前にまた眠ってしまった。

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まいるーむまいひーろぉ やにとろさーもん。 @82toro

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