09 想いは遠く
老年の漁師は本を読まないのに、足しげよく古本屋に通うのは先立たれた若い頃の妻によく似た店長がいるからだった。「またいらっしゃったんですか」困ったように笑う顔が本当によく似ていたのだ。寂しさ故の事だと思って、どうかこの老人の相手をしておくれと、今日もまた通うのだ。
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