当然のごとく後悔
「あのおっさんはここが酷い土地だって話してたけど、全くそんなことないじゃんね。建物もカラフルであの森よりもずっと綺麗よ。」
「いえ、ここは相当酷いですよ。霊力がほとんどありません。ハナサクヤさんは燃費が悪いので、もはや秘術の使えない拡声器ですし、チマキヒコさんは新しい団扇を探さなければなりません。私も鏡の生成にはかなりの時間がかかります。」
「それなら俺たちはどうしたらいいんだ?」
「霊流脈を探すしかありませんね。」
「えー! 世界征服は!?」
「諦めてください。」
「ちぇっ、やさぐれ狐。ごわごわ尻尾。」
「悪口言っても状況は変わりませんよ。」
「感じる...こっちだ。」
「チマキヒコさん、なにか見つけたのでしょうか?」
「きっと霊力の『気』を感じたのよ。ついて行ってみるわよ。」
「はい!」
着いたのは、寂れた商店街の小さな定食屋だった。
「全然違うじゃないですか! 」
「まあまあ。何かあるかもしれないじゃん?」
店に入ると、小さなおばあさんが1人いた。
「あいつを最初の手下にしてやりましょう!」
「客かい?珍しいねえ。おや! あんたたちもしかして...裏山の神社から来た神様かい?」
「違うわよ!」
「それじゃあ、こすぷれってやつなのかねえ。ちょっと待っててねえ。すぐ作ってあげるからねえ。」
三十分後、温かいトンカツ定食が出された。
「お代は要らないわぁ。その代わり次も来て頂戴ね。」
「お言葉に甘えて、いただきましょう。私たちに食事は不要ですが、親切を無下に扱ってはいけませんからね。」
食事を終えたあともおばあちゃんは見送ってくれた。
「それでこれからどうすんのよ。」
ハナサクヤはふくれっ面になっていた。
「裏山の神社に行きましょう。もしかしたら私たちと関係があるのかもしれません。」
裏山の神社にはオオムカデが祀られていた。
「うわ! きもちわる!」
「失礼ですよ。あの人はだいぶ弱ってますがこの土地の守り神なのでしょう。私たちより相当強いです。」
「関係ないわ! 殺りましょう!」
ハナサクヤはボコボコのされた。
「凄いですね。十回以上は殺されていたかと。」
「あんたたちも戦いなさいよ!」
「すみません。私、争いは苦手なので。」
「俺は今、武器がない。」
「そんなでよくも私についていこうと思ったわね。」
「...どうやら俺たちにここの霊流脈を使わせてくれるらしい。」
「言ってることがわかるんですか!?」
「それじゃあありがたく使わせて貰うわ!」
「それと、お前に謝れって言ってるぞ。」
「嫌よ!」
「もう五回ひねり潰してもいいって」
「へへっ、いやあ冗談ですよお。どうもすみませんでしたぁ!」
「良かったな。一回で許してくれるらしい。」
「なんでえええええええええ!!」
結局ハナサクヤは十回以上潰されることになった。
霊界のつまはじきもの 破村すたむ @hammastaria
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