霊界のつまはじきもの
破村すたむ
当然のごとく失敗
これはとある平行世界のお話。
暑い昼が過ぎようとしている頃。
「えー、皆さん。本日は集まっていただきありがとう。早速ですが、これから私が独裁者としてこの霊界に君臨するまでの計画をお話しようと思います!」
「あの...」
「なんだね、そこの狐耳さん!」
「皆さんって...ここ三人しかいないんですけど。あと、その変な呼び方は何なんですか...。」
「こら、貴様! 未来の指導者に向かってそんな口をきくとは何者だ!」
「ただの友達なんですけど...。」
現在この場にいるのは、白炎虎の怪ハナサクヤ、大狐の怪アマアズマ、ハシボソガラス天狗のチマキヒコである。
「それじゃあ、作戦通りにいきましょう! アズマの鏡で族長室まで行って、継承者を拘束して、このクソッタレな社会をぶっ壊すのよ!」
「絶対上手くいかないので諦めましょうよぉ。今からでも遅くないですよぅ。」
「もう遅いぜ。既に俺たちは囲まれてる。」
「ちょっと! これからどうするんですか!?」
「どうするって、もちろん叛逆を成功させて独裁者になるの! 権力を握ったらね! 平民には全く権利とお金を与えず搾取するの! それが一番の平等だから! でもやっぱりアズマはいつも私の味方でいてくれたよね。だから、私が独裁者になったら、一生そばに下僕として置いてあげる。」
「下僕じゃないですか! チマキヒコさん、団扇であの人たち全員吹き飛ばせないんですか?」
「すまん。団扇は忘れてきた。」
「どうして持ってこなかったんですか!」
「私はまだ諦めない! アズマ! 鏡を出せ! 逃げるぞ!」
「どこまでですか!」
「どこまでもだ!」
三人は転移鏡で逃げ続けたが、やがて捕まった。
「お前らは本来国家反逆罪で打首だが、今回は鏡に苦しめられたのでな。鏡を使って別の世界に飛ばしてやる。おい貴様、鏡を最も酷い平行世界に接続しろ。」
「うう...いやですぅ。」
「いいから出せ!」
「はいぃ...。」
「どれどれ、あらまあ、こりゃ酷いな。ここでいいぞ。」
三人は平行世界へ追放された。
「元の世界への接続が破壊されてます。もう二度と帰れないかもしれません。」
「ほんとだ。粉々だねえ。」
「平行世界にいる自分と会ったらどうするんだ?」
「会うことはありません。もう一人の私たちが居る別世界へ行くことはできませんから。」
「ねえ! ここの世界を征服しましょう! 着いてきて!」
こうして、3人は新たな目標のために別世界で生きることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます