第5話 天災戦

約30年前、人類は突如として現れた悪魔に襲われ、当時の人口90億の半分以下へと減少してしまった。

その戦いを天災戦と呼ぶ――




約30年前、イスラエル―――

そこには3人が、土を掘り返しながら不発弾を処理していた。

「アーロン!今日はここまでにしよう!」

「ちょっ…と待て。ここになにかあるからこれを処理して終わるよ。」

ガツン!と音を立ててなにか硬いものにぶつかる。

「これ…どうも爆弾じゃぁなさそうなんだよな」どう思う?アブラハム。」

「……時間かかりそうだけど一旦掘り返してみるか。」

最初に終わろうとしていたアダムが文句を言ったが2人は掘り返し始めた。


掘り返したものをアーロンが持つ。

「……なんだこれ?真鍮の容器??」

「わかんねーから開けてみようぜ。」


……ドチュ


アーロンとアブラハムの首が飛ぶ。

「は?」

離れた場所で見ていたアダムも逃げ出そうとしたが一瞬で首が飛んだ。


真鍮の容器からでてきたのは72体の悪魔だった。


そこから1年で地球の総人口は2割が減り、そこからさらに1年後には3割が減った。人類も奮闘したが、それがまた仇となり4年が経つ頃には半分以下になっていた。

 戦況が変わったのは悪魔が出現して4年が経った26年前。ヴァール博士率いる研究者チーム悪魔に対抗する戦力、【天使】を作ったのだ。

悪魔軍VS天使軍、

天使たちは持ち前の分析力、物量を活かして、次々と悪魔を封印して行くことに成功した。

しかし、その封印方法が非人道的、さらに危険が多いということで世間から批判を食らった。

その方法は悪魔を直接人体に封印するというやり方だった。

それは、人類の未来に貢献するために取った方法だった。

結果的に、強さを求めた人間が悪魔となっが、特に何も起こらずに日々が過ぎていき、人々はやがて、天使という自分たちの代わりとなって働く使い勝手のいいモノを手に入れて、天災戦のことは忘れ去っていった。

 さらに天災戦について、話すことは禁止されてしまい、その厄災を受けた者は、決して忘れることはない。が、それよりあとから生まれた者は誰もその詳細を知らない―――


「そして今、今度は天使の反乱が起きて、それに共鳴して天使に因縁のある悪魔も続々と目覚め始めているんだ。」

タロトが説明を終えると、ラグナが言った。

「改めて自己紹介をしよう。俺達は悪魔となって、天使を狩っている、【ソロモンの悪魔】が一人、バルバトスだ。」

タロスも続く。

「僕の名前はアスタロトだ。よろしく。」

ゆらが戸惑いながらも返事をする。

「よろしくお願いします。」

「うん、よろしく。」

アスタロトが、にこやかな笑みを浮かべて返事をしたあと、真顔に戻って言った。

「そしてゆら、ここからが本題だ。……君にも悪魔が憑いてる。」

「え………?」

「……つまり、君には悪魔として、【ソロモン】に入って戦う義務がある。」

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