息抜きに作ったヤリチン主人公最強モノの女に追いかけられるやつ

黒犬狼藉

クライマックス

「第三王子、ガル・ファウング・ディ・バルトラの王位継承権を剥奪する!!」


 ガーンと、王城中に鐘の音が響き渡り一人の王子は事実上の追放処分を受けた。

 王城の中心に位置する謁見の間、そこで王は玉座に座りながら冷徹な目でガルという名を持つ王子をみる。

 不敵にも、頭を上げ立ちあがろうとする王子を見ながら。


「じゃ、そういうことで」


 クックック、そういうように肩を振るわせながらガルと言われた王子は言葉を吐いた。

 王子がなぜ、追放されるのか?

 その理由は単純に、だ。


「じゃ、お姫様全員もらってくぜ?」


 この世界に存在する国家、計238カ国。

 そのうちの第一王女、226人。

 第二王女、168人。

 第三王女、246人。

 その他、継承権未所持の王女たち合計364人。


 および、だ。


 およびバルファセロ王国、ドレスア国、デンゼル女王国、バルファ聖皇国などの女王と関係を持ち聖娼にして聖女たるミレーニア・ティゼルや今代の勇者であるティゼット・ドロドーレス。

 人類の敵にして災厄の魔王、ヴォルフ・バララーズに女神の使徒である大天使ララファス。

 エルフの賢者、マギレコの他にもドワーフの最終兵器である機械人間バズーと関係を持ったためである。


 いわば、世紀の大犯罪者。

 もしくは、性器の大犯罪者だ。


「戻ってこいと言われても知らねーぞー?」

「二度と戻ってくるんじゃないッ!! このドラ息子!!!!」


 ドドドッ、雪崩のように門の方から足音が聞こえてくる。

 今挙げたのは彼が関係を持った氷山の一角、社会的立場がある人間のみ。

 貧民街の少女から、貴族の貴婦人まで。

 年齢、立場、性格を問わず。

 合計人数、およそ10000人近い人数と関係を保ち見事に全員をやり捨てした。


 顔面蒼白の王を嘲笑いながら、齢21の王子は全力で脇目もふらず逃げ出していく。

 流石に死にたくない、自殺願望などないのだ。


「じゃ、後はよろしく!!」

「巫山戯るな!!!!!!」


 王様の叫びを背中に、猛ダッシュしながらこの王子は祝福を使った。


 祝福、ソレは神に愛された証である。

 この王子は、その祝福を合計100個保有していた。

 神にも愛された、否。

 神ともヤったこの男、流石の祝福の量である。

 幸運にも、神は嫉妬深くないのはこの際幸いであるというべきか。


「『疾風迅雷』『疾風怒涛』『疾風の如く』!!!!!」


 一瞬にして、時速200キロに到達する。

 が、しかしソレでもまだ遅い。

 祝福を100個保有していても、普通に強い祝福を一つ保有し極めている人間には些か劣る。

 というか、王城の女騎士にメイドに姫に貴族に令嬢に学生に下働きにならず者に犯罪者が追いかけてくる中で200キロ程度では安心できるはずがない。

 壁を透過し、姿を消す祝福を使いながらその速度を維持し王城を抜ける。


「いやぁ!! 素晴らしいかな、この青空!! そして目の前を覆う大山脈おっぱいは!!!」


 流石に、ヤリチン王子といえども全長100メートルの巨人族が透明で空を飛びながら時速200キロで移動する自分に対して性格無比に手を伸ばしてくれば恐怖を覚えるに決まっている。

 溢れんばかりの胸を凝視しつつ、顔面蒼白のままに重力に沿って地面に落ちていく。


「そちらはキケンですわぁ?」

「チィ、天使か!!?」


 だが、その落下する彼を天使ララファスは許さない。

 当然のように、超高速で移動する彼を上回る速度で捕縛せんと腕を伸ばす。

 が、その腕が彼を掴むのは彼女が許さない。


「羽虫が、余の夫たる彼に手を触れようなど」

「あらららららら? 何故魔王が生きているのでしょうか? 勇者を向かわせたはずですわぁ?」

「ボクを騙したな!!! ララファス!!」

「聖女たる私を騙すなんて!! 天使としての矜持は無くなったのですか!!?」



 魔王、勇者、聖女の3人がヤリチン王子を上手に避けて滅却しようと攻撃をしたが流石は大天使。

 そう簡単にはくたばらない、聖守護結界を用いて己を守る。


 一泊、直後に怒涛の魔術戦が使の間で行われた。


 そう、全員が全員に向けて普通に裏切りながら攻撃を行ったのである。

 王子を手に入れるのは一人だけだ、これは彼が何百にも分裂しようが変わらない事実だ。

 無限の渇愛は、無限の求愛によって無限の愛情を注がなければ満たされることはない。

 事実、王子が無数に分裂できても王子の寵愛の全てを貪らなくては満たされないのだ。

 つまり、この世全ての女が敵である。


「(この間に逃げちまうか)」


 ニシシ、そのように口角を上げ超高速で逃げる王子。

 その気配に気づかない4人だが、王子の敵は四人だけではない。

 むしろ、四人はほんの氷山の一角である。


 王子を追いかけるように、魔力反応が発生した。

 常人では捉えられない超高性能ステルス、異常な速度で迫る鋼の女(文字通り)

 彼女は誰だ、簡単だ。


「目標ヲ発見、寵愛ヲ欲シマス


 ドワーフが作成した最高傑作、機械で作成された絶世の美女にして最高峰の破壊兵器。

 人型汎用決戦兵器人造人間、バズーである。


「森林よ妾の願いたまう様に力を与えたまえ、子供だけで国家を作らせたまえ」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「べ、別に貴方が好きすぎて世界を滅ぼしそうなわけじゃないし絶対に私のものにするんだから勘違いしないでよね!!」

「貴方と結婚するのですわぁぁぁぁぁアアアア!!!!!!」

「へい、ボーイ。あたしゃから逃げようってのかい?」

「逃がさない許さない逃がさない許さない逃がさない許さない、私を愛しなさい!!!!」

「ワンだフルに合体するにゃん、さっさと股をおっぴろげるのだー!!!」

「ぼ、僕にこの楽しさを覚えさせた責任!! 絶対に取らせますからね!!」


 様々な人種、生物、存在、概念。

 ソレら全てが、王子を手に入れるために動き出す。

 すなわち、世界の命運を賭けたバトロワ。

 さぁ、この世界の明日はどっちに傾く!!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

息抜きに作ったヤリチン主人公最強モノの女に追いかけられるやつ 黒犬狼藉 @KRouzeki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説